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ソードアート・オンライン〜黒の妖精〜
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どうせ、負ける気なんてないんでしょう?
言って置くけど、私は薄々感づいてるんだからね・・・?

アンタが・・・・・・・。





カウントダウンが始まる。
兄はエリュシデータと、ダークリパルサーを構える。
私は両手剣を、私独自の構えで持つ。
3
2
1

私たち三人は同時に間合いを詰めた。
一番最初にヒースクリフと打ち合ったのは兄。
兄の二刀流の速さに、ヒースクリフは驚きもせず盾ではじき返している。
「はあっ!!」
私は単発ソードスキルを、高速斬撃を交えてヒースクリフの背後に打ち込もうとした。
でも。
「!!」
ヒースクリフは、兄の二刀を盾で、私の高速斬撃を剣で防いで見せた。
もうこれは反則級だろう。
「チッ!」
「ヤロー・・・」
私と兄は、アイコンタクトで意見を交わす。
用はフェイントだ。
兄が二刀流ソードスキル、ダブルサーキュラーを発動する。
二刀は盾だけで何発も防ぐのは厳しい。
その間に、私が高速斬撃で攻撃する。
取り合えず、2割減らせば勝敗が決まるのだ。
私はスッと息を吸った。

兄のダブルサーキュラーが、ヒースクリフを襲う。
ヒースクリフは予想通り、盾と剣で応戦。背後を取られると覚悟してのことだろうか。
それさえも防ぐ術がある?

今はそんなコト、どうでもいい。
思考が加速されて、時間の流れがゆっくりに見える。
「散れええぇえ!!!」
2割減らすだけなのに、ずいぶんな掛け声だが、これが今の私の温度、ということだ。

取れると思ったのだ。
勝てると思ったのだ。

でも。



世界がブレた。


ヒースクリフが、兄と私の間から、瞬間移動でもしたかのように移動した。
ヒースクリフを構成するポリゴンさえも、一瞬ブレていた。
「ぬんっ!」
驚きに目をむく私たちに、ヒースクリフは攻撃をくらわせる。
体勢を崩していた私と兄は、とっさに反応できる筈もなく。
「うわああっ!」
「きゃああ!!」
HPを2割ずつ減らされて、負けた。

ヒースクリフの顔には、厳しさが浮かんでおり、私たちを一瞥すると嵐のような歓声の中、去っていった。
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