姫提督から見た帝国内乱
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も外輪部しか分からない帝国内乱の当事者に近い人物が目の前に居るのだ。
正規の裏取りなどは外務委員会や情報部にまかせるとして、ただ単純に歴史に残るであろう事件の内幕をヤンは聞きたかったのだ。
もちろん、情報の有用性を知っているだろうエリザベートはそのヤンの矛先をかわす。
だが、舌戦、特に己の趣味の領域での舌戦においてヤンはその才能を使わないつもりは毛頭無かった。
「本国では更新されていると思いますが、こちらの情報ではまだカストロプ領は落ちていませんでした。
エリザベート嬢がここに来ているという事は、失礼ですがカストロプ領は……」
あえて、肉親の話をふる事で彼女の表情を読んで次の矢を放とうとしたのだが、彼女の顔に浮かんだのは怒りでも悲しみでもない微笑でした。
「ヤン中佐。
一つ訂正を。
私、今回の内乱において帝国正規軍の軍人として動いていましたのよ」
「え?」
思わずヤンの口から間抜けな声が出てしまい、それが面白かったらしくエリザベートはコロコロと笑う。
ヤンの声にて今から述べる事が同盟への外交カードになる。
そう確信したからだ。
「私、コーディネーターなのですの」
貴族社会など上流階級における結婚はどうしてもいずれ血が濃くなる為に遺伝子障害などを発生しやすいのは人類が地球にいた頃から問題にされていた事である。
その解決の為に遺伝子治療は発達したのだが、その技術を突き詰めて人形師が生み出したコーディネーターという新人類は帝国内貴族に革命的衝撃を持って受け入れられたのである。
人類を越える体力や肉体、知能に容姿という分かりやすいそれを金と権力が有り余る銀河帝国貴族階級が手に入れない訳がなかった。
そういう観点から見ると、ヘルクスハイマー伯の亡命騒動にて暴露された遺伝関連のスキャンダルがいかに爆弾なのかが理解できるだろう。
実際にこの技術が確立してからの貴族子弟のかなりの人数がコーディネーターになっており、いずれは優勢人類による劣勢人類の支配なんて事態が起こっていた可能性もあった。
だが、彼らコーディネーターの貴族子弟は他の貴族子弟と同じく腐敗し、驕っていったのである。
人を人としてたらしめる教育が『自分は他者とは違う特別な人間だ』から始まっているのだから、そりゃ自我が肥大し驕るのも無理は無い。
人が人として生きていられるのも社会的要因と教育のおかげであると後にこの件について結論がでて、コーディネーター融和に役に立つのだがそれは先の話。
話をカストロプ令嬢に戻そう。
「父上は長く帝国中枢にいらして、いつ追い落とされるか不安でした。
その為、お付き合いのあるフェザーンを通じて、兄と私を作ったのだそうです。
兄は領地の統治の為に、私は皇太子の寵
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