第八十七話
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驚きの声を上げるわたしの側にいつの間にかアテナが戻ってきてその手に持った弓矢に篭った魔力を使ってその弓を変じさせ、大きな盾を作り出した。
「ゴルゴンの盾よ、妾達を守護せよっ!」
「ええ!?」
真名の開放と共に強固な盾がその内なる力を解放する。しかし、聞き流せない単語もあった。
ゴルゴンの盾。つまり、ペルセウスがメドゥーサの討伐で持ち帰った首をあつらえたアテナが持つアイギスの盾だ。
それはあらゆる厄災を跳ね返し、死したメドゥーサの頭はその後も石化能力を持つと言う。
ガツガツと石化したフクロウが盾に弾かれて砕け散っていく。
しばらくその落石に耐えていると、先ほどまで威圧されるように放たれていたプレッシャーは鳴りを潜めていた。
「逃げられたか」
と、不覚を取ったとばかりに呟くアテナ。
「追うわよ、チャンピオン」
「ふむ。追うのもやぶさかではないが、おぬしの魔力も限界であろう。今日は帰るとしよう」
「え?あっ…」
チャンピオンのその言葉で急に倦怠感に襲われ、立つ事が難しくなる。
崩れ落ちそうになる瞬間にわたしを抱きとめたのはアテナと名乗ったあの少女ではなく、いつものあの人の腕だった。
そして意識は暗転する
…
…
…
また夢だ。そう、彼の夢だと言うのはもう分かっている。
今度の彼はまだ6歳ほどと言う体で、サーヴァントと比しても決して劣らない…いや、それ以上の人型の何かと戦っていた。
それが神話から出てきた神だと言う事は何となくだけど分かった。
彼は神話のくびきから離れた神と戦っていたのだ。
その世界には大掛かりな魔術儀式があるのだろう。
神を倒した人間は、相手の能力を奪い、強化されるようだった。
彼は幼少の頃に幾度か苛烈な戦闘を繰り返し、辛くもその全てに勝利を勝ち取った。
それから数十年は平和な時間だったらしい。
神の能力を手に入れた彼らは基本的に年齢はある程度で止ってしまうようで、彼は青年の姿のまま数十年と生きていた。
場面が変わると今までにはおぼろげにしか聞こえなかったその夢の声が聞こえてきた。
「それを俺に頼むのか?」
と、彼は彼に何かを頼みに来た女性に問い掛けた。
「はい。あの人を止めてください。あなたならあの人の力を奪う事もできましょう」
そう亜麻色の髪をした女性は答えた。
「50を越えられなかったか…いや、それが人としての感性を持ち続けた彼の限界か。周りが老いて死んでいくのに変わらぬ自分に戸惑ったか」
「はい…それとエリカさんが亡くなったのが拍車を掛けました」
「カンピオーネ、その眷属でも不死ではない。神との戦闘に連れまわせばいつか死んだだろ
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