第八十七話
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その本体を捕らえるのはなかなかに難しいようだ。
アテナが劣勢である理由はおそらく単純。
魔力不足だ。他のチャンピオンのようにあの弾丸を使っていない。
…いいえ、もしかしたら使えないのかもしれないわ。
予備タンクが使えないと言う事は、使われるのは本来の物になるはず。それでも今の彼女の消費量はごくわずか。これは持ち前の魔力のみで戦っていると言う事だろう。
「チャンピオン、遠慮する必要は無いわ。私の魔力、存分に使いなさい」
「よいのか?」
「ええ。だから必ずライダーを倒しなさい」
「承知した」
そう言ったアテナはわたしから魔力を吸い取り始めた。魔術回路にマナが循環され、唸りを上げ駆け巡る不快感と吸い取られていく虚脱感が襲ってくる。
十全に魔力を貯蔵したアテナの背後の空間に闇夜が広がり、そこから赤い光点が見える。
目だ。
「征け」
闇から現れたのは無数のフクロウだ。それが撃ち出された弾丸のように虚空を走り、ライダーに迫る。
「なっ!?」
驚きの声を上げたライダーは、直撃はまずいと判断し、回避に徹するが、ガトリングの連射のように打ち出されるそれはビルの壁面を傷つけながら回避するライダーを追い詰めていく。
トンットンッと壁を蹴り、フクロウを避けながらビルを駆け上がるライダー。
「ははっ!なかなか良く避ける」
そう言ったアテナはフクロウの数を増やしてライダーにけし掛ける。
それを空中に躍り出ながらも自在に空を駆けて回避するさまは騎獣の背中に飛び移る騎士のようだった。
視線をアテナに戻せばいつの間にか漆黒の鎌は弓へと変じていた。
現れた矢に辺りの魔力が食われているのが分かる。それ以上にわたしの魔力を際限なく引き出して言っているのだからアレはきっと彼女の宝具クラスの技なのだろう。
あとは真名の開放と共に撃ち出されればおそらくあのライダーは打ち倒されるだろう。それほどの魔力が篭っていた。しかし、その矢を放つ事はなかった。
なぜなら、上空のライダーが今までその目を覆っていた眼帯を取り外したからだ。
「これは仕方が有りませんね」
「む?」
その瞬間、ライダーを追うように翔けていたフクロウは石化し、推進力を失ったそれらは重力に惹かれるままに落下し始めた。
「なっ!?石化の魔眼!?」
石化の魔眼を持っている英雄は古今東西を探せばわたしが知らないだけで居るのかもしれないが、一番有名なのは人ではなく神が怪物へと変じたメドゥーサが有名だろう。
宝石のように輝く瞳にはキュベレイの名前こそ相応しい。
しかし、仮にあのサーヴァントがメドゥーサだとしたら、聖杯は呼んではいけない怪物を英霊として呼んだと言う事になる。
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