第八十七話
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体の内に引っ込み、その口から発した言葉は数百年を共にしたアテナのものだった。
◇
「悪いな、アオ。そいつは妾の相手よな」
突然彼の口から女の声が聞こえたかと思うと、また彼の姿が見たことの無い人物に変わっていた。
年は若く、少女のような銀髪の女の子だ。
今までのチャンピオンと違い彼女は甲冑を身に纏わずに、白いワンピースを一枚着るのみだが、その姿が何故か荘厳で神気を帯びているように感じられた。
「あなたは…」
そう聞いたのはわたしではなくライダーだ。
「妾はチャンピオンのクラスで現界したアテナの名を所有する者である」
初めてアオ以外のチャンピオンの名前を聞いたような気がする。
「アテナですか…」
しかし、アテナと言う名を聞いたライダーのサーヴァントはその表情を険しいものに変える。
「とてもイラつく名前です」
「ふむ。それも仕方の無い事かも知れぬな。神話ではおぬしを怪物に変え、ペルセウスに助力しそなたを討たせたのは妾と言う事になっているからな」
「うそ…あなた、神霊なの!?」
さも自分がアテナであると言うような態度にまさかと思う。
アテナと言えば本来呼び出そうとしていたヘラクレスなんかよりも知名度で言えば高い。オリュンポス12神の一柱で永遠の処女神。
まぁ、あの見た目なら処女神としても信じてしまいそうだけど、本当にアテナなのだろうか?
彼女のステータスを透視してみれば、彼女の固有スキルに神性EXが見て取れた。
これは神霊そのものと言われても信じざるを得ない高さだった。
だがそれは有り得ない。聖杯戦争のシステムでは英霊を呼び出すのが精一杯で神霊を呼び出せるほどの力は、ましてや従えることの出来る力は無いのだ。
「神であった過去が有るだけよな。何、アオ達のデタラメさに比べれば妾なんぞ可愛いものだ」
そんな訳は無い。今までの彼女達の力は途轍もなく強力だった。ならばこの少女の力も強力なのだろう。
「浅ましくも人間の生気を集めるそなたには神であった矜持は無いのか?無いのなら妾が鉄槌を下してやろうぞ」
「戯言をっ!?」
戦いの合図は突然だった。
ライダーは手に持ってクサリつきの釘を投げつけ、アテナと名乗った少女を射殺さんとしたが、いつの間にか手に現れた漆黒の鎌によって阻まれた。
キィンと弾かれたそれをライダーは鎖を巧みに操って蛇のように再びアテナと名乗ったチャンピオンに向かわせた。
狭い袋小路で始まった戦いはその地形をライダーを優位に立たせているようだ。
四方を囲まれるように立つビルの壁を蹴りながら縦横無尽に空中を駆け回るライダーに対し、アテナはその手に持った漆黒の鎌を振り回してライダーの投擲を弾くが、
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