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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第2話:姉の死
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真っ先に糾弾された。
また、作戦の立案・実行の責任者であった艦長と魔導師隊長も作戦立案時点における
情報の信頼性評価と計画の杜撰さを指弾され、現場の責任者であった2名の分隊長も
奇襲攻撃という当初の計画への固執による上層部への報告もれを指摘された。

これらの委員会報告を受け、処分の権限を持つ本局管理部は情報収集を担当する
情報部の佐官クラスを更迭、シャングリラ艦長と魔導師隊長を減給処分とした。
また、ゲオルグ自身も訓告処分を受けた。

しかし、ゲオルグにとっての試練はそのあとから始まった。
現場の責任者であったゲオルグに対する処分が甘いとの声がシャングリラの
乗組員の中から上がったのである。

彼らの論旨は、”作戦失敗の原因は現場指揮官の判断ミスにあるのだから、
分隊長に厳罰を”というものであった。
これは少なくとも事故調査委員会の公式見解とは異なる意見ではあるが、
機関部員などの戦闘とは直接関係しない部署の乗組員たちの間で瞬く間に広がった。

艦長は事実と異なるこの声を押さえこもうとするものの、事故調査委員会の
調査報告書が非公開扱いであることも作用して失敗に終わった。
結果として、批判の矢面に立たされることになったゲオルグは、さまざまな
嫌がらせを受けることになり、これがゲオルグの心に深い傷を残すことになる。





「・・・ーグ士長」

そんなことを思い返していたクリーグは自分の名前を呼ぶ声で我に帰る。
見ると、先ほどシャワー室に向かったはずのゲオルグが自分を見上げていた。

「どうしたんですか?」

「ひとつ言い忘れたことがありまして」

そう言ってゲオルグはわずかに頬を染める。

「僕のことを心配してくれてありがとう」

ゲオルグはそう言うとクリーグに向かってニコッと笑いかけ、
そのままシャワー室へと駆けて行った。
クリーグは呆気にとられ小さくなっていくその背中をポカンと見ていたが、
その顔には優しげな笑顔が浮かんでいた。

(やっぱ、分隊長の笑顔には癒されるなぁ・・・)

しかし、最近はその笑顔もあまり見られなくなってきたことを思い返し、
クリーグはその表情を曇らせる。

ゲオルグがシャングリラに配属されてすぐのころはその若さや素直さもあって、
マスコット的に扱われていた。
そのころのゲオルグは”よく笑う明るい少年”という言葉がピッタリだった。
しかし、配属から1カ月たってそれは変わった。
ゲオルグはめったに笑わなくなり、魔導師隊やブリッジ要員以外とは
ほとんど話すこともなくなったのである。

人員補充で魔導師隊に新たにやってきた面々は、最初ゲオルグを遠巻きに見ていた。
他の乗組員の話を聞いてあまりいい印象を持っていなかったため
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