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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第四話 ロマーニャ基地@
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た。
 背中には柔らかい毛布の感触がある。首だけを動かして薄暗い部屋を見回してみると、どうやら医務室か何かのようである。自分はそこに寝かされているらしい。

「あれ、わたしはどうして……?」

 未だ覚醒しきっていない頭を振って、何とか記憶を引きずり出す。
 そうだ、私は訓練の途中で気が遠くなって、それから、それから――

「あの、起きてますか?」

 そこまで考えた時、コンコンと扉がノックされ、外から声を掛けられた。
 声の主が扶桑語であったと言う事は、ここはやはり扶桑なのだろうか?

「あ、はい。どうぞ」

 自分の部屋でもないのにどうぞも何もあったものではないが、とりあえずそう言っておく。
 カチャリ、と音がしてドアノブが回ると、ゆっくりと扉が開いた。ようやくできた人1人分の隙間から入って来たのは、多分自分と同い年くらいの少女だった。
 なんというか、小動物然とした愛嬌のある顔立ちだ。小型犬みたい。

「あ、もう起きてたんだね。お腹空いてない?」
「えっ? ああ、はい。……一応は」

 言われてみれば、とお腹をさする。今の今まで気がつかなかったが、すっかりお腹が空いてしまっていた。どうしようかと思ったところで、目の前にコトン、っとお椀の載った盆が置かれた。……お粥?

「はい、リーネちゃんと私で作ったお粥だよ。ちゃんと食べてね」
「あ、ありがとうございます……?」

 そのリーネちゃんとやらがいったい誰なのか気になったが、とりあえずそれを無視してお粥をすする。程よい暖かさのそれは、どうやら卵粥のようだった。我ながら胃袋というのは実に正直なもので、呑気にお粥を啜っている場合ではないというのに、絶妙な出汁と卵の味わいにあっさりと白旗を上げてしまっていた。

「……えっと、沖田和音さん、だよね?」
「どうして私の名前を?」

 お粥をすする私を見ながら、名前も知らない少女がそう言ってきた。

「ついさっき、坂本さんに聞きました。お話しするときに名前を知らないと不便かな、って」
「はぁ、そうでしたか……」

 きょとん、と小首をかしげて見せる。なんというか、動作の一つ一つが凄く可愛らしい。童顔であるという点もそうだが、保護欲を掻き立てられそうな感じがするのだ。
 そんな私に構うことなく、彼女が話を続ける。

「昨日は凄かったんですよ〜! 基地中が沖田さんの事でもちきりでした」

 ――そうだ。
 私は唐突に思い出した。ここで、確かめなくてはいけないこと。

「あ、あの!」
「……?」
「失礼ですが、お名前と、それから今日の日付を教えていただけますか?」

 今更な悪あがきかも知れないが、それでも重要なことなのだ。
 少なくとも、私にとっては。

「あ、自己紹
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