第一章 土くれのフーケ
第九話 デルフリンガーとの出会い
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あ、思い出しただけでも頭が痛くなる。まあ、だが……。
「だが、結構楽しめたぞ」
士郎は優しい笑顔をルイズに向けた。
「む〜」
そんな士郎を見てルイズは不機嫌そうに唸った後、士郎を置いて先に行ってしまった。
さて、士郎とルイズがなぜこんなところにいるのかというと。
それは、ギーシュとの決闘を終えた後、士郎がルイズにこの世界の武器が見てみたいと伝えたところ、それでは次の虚無の日に武器屋に行ってみようとのことから、この日二人はトリステインの城下町に来たのだった。
そして今、士郎とルイズは武器屋の中にいる。
武器屋の中は昼間だというのに薄暗く、ランプの灯りがともっていた。壁や棚に、所狭しと剣や槍が乱雑に並べられ、立派な甲冑が飾ってあった。
店の奥で、パイプをくわえていた50がらみの親父が、入ってきたルイズを胡散臭げに見つめている。
紐タイ留めに描かれた五芒星に気付く。それからパイプをはなし、ドスの利いた声を出した。
「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさ。お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんや」
ルイズは腕を組んで答えた。
「客よ」
「こりゃおったまげた。貴族が剣を! おったまげた!」
「どうして?」
「いえ、若奥さま。坊主は聖具を振る、兵隊は剣を振る、貴族は杖をふる、そして陛下はバルコニーからお手をおふりになる、と相場は決まっておりますんで」
「使うのはわたしじゃないわ。わたしの使い魔よ。ほら、そこにいる」
「忘れておりました。昨今は貴族の使い魔も剣を振るようで」
主人は、商売っ気たっぷりにお愛想を言った。それから、士郎をじろじろと眺めた。
「ほお、剣をお使いになるのは、この方で?」
ルイズは頷く。
ルイズが店主と話をしている間、士郎は店内にある刀剣類を片っ端から解析していた。
質はあまり良いとは言えないな。ここでの武器にはあまり期待は持てそうにない……か。
顎に手を当て、落胆の息を小さく漏らす士郎に、ルイズは声を向ける。
「シロウ。わたしは剣のことなんかわからないから。適当に選んで頂戴」
「了解した」
主人はそんな士郎たちを置いていそいそと奥の倉庫に消えた。店主は聞こえないように、小声で呟いた。
「こりゃ、鴨がネギ背負ってやってきたわい。せいぜい、高く売りつけるとしよう」
店主は立派な剣を油布で拭きながら現れた。
「そう言えば最近、このトリステインの城下町を、盗賊が荒らしておりまして、宮廷の貴族の方々は下僕に剣を持たすのが流行っておるようですが、若奥様もそうで?」
「盗賊?」
ルイズが尋ねると、店主はわざとら
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