第一章 土くれのフーケ
第八話 士郎の使い魔としての一日
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! 達人は誇らない!」
コックたちが嬉しげに昭和する。
「達人は誇らない!」
するとマルトー親父はくるりと士郎を振り向いた。
「おいっ! どうしてくれるんだ“我らの騎士”。そんなこと言うお前がますます好きになったぞ」
「いや、どうしてくれると言われても……」
士郎は苦笑いをしながら食事を続ける。
じっと向けられる視線に居心地悪そうにしながらも食事を続ける士郎の姿に、マルトー親父はシエスタに顔を向け口を開く。
「シエスタ!」
「はい!」
そんな二人の様子を、ニコニコしながら見守っていた気のいいシエスタが、打てば響くような声で元気よく返事を返す。
「我らの勇者に、アルビオンの古いのを注いでやれっ!」
シエスタは満面の笑みを返すと、ぶどう酒の棚から言われた通りのヴィンテージを取り出そうとするが、流石にそれはと慌てた士郎の声が遮った。
「い、いや、待ってくれ。酒が入ったらいざという時に困るっ。そ、その、気持ちだけ受け取っておく。ありがとうマルトーさん」
「そんな“我らの騎士”っ! 俺が勝手にしようとしたことなんだから気にしないでくれ」
そんなやり取りを、シエスタは頬を赤らめながら幸せな面持ちで見つめている。
こんなことが毎回繰り返されるのであった。
士郎が朝食を取った後の事であるが、士郎はその日その日で行動を変化させる。
ある日はルイズの授業のお供を務めたり、またある日は魔法学院内を散策したりした。
そして今日であるが―――士郎は図書館にて本を読んでいる。
実のところ、士郎は最初にこの世界の本を読もうとした際、文字が読めなくて困ってしまった。そんな時、後ろから声を掛けてきたのがタバサだった。
声を掛けてきたタバサは士郎が文字が読めないことを知ると、ルイズに作ってやっている朝食を自分にも作ることを交換条件に士郎に文字を教えるようになった。さて、文字を覚えるのにどれだけ掛かる事かと覚悟していた士郎だったが、驚くことに、タバサの教えを受けたその日の内に殆どの本を支障なく読めるようになった。勿論士郎の頭が急激に良くなったわけでもなく、タバサの教え方が特別良かったわけでもなく、どうもルイズのルーンの影響ではないかという事らしい。
とは言え本が読めるようになった士郎は、こうして時折図書館に来ては本を読むようになった。今も本棚に体をあずけながら本を読んでいる。そしてそんな士郎を、じっと睨んでいる赤い影があった。
キュルケのサラマンダーである。
「ん?」
士郎は自分を見つめる視線に気付き顔を上げると、視線の主に向かって手を振った。
「確かキュルケのサラマンダーだったか? たしか……フレイムと言ったか。何か用か?」
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