マザーズ・ロザリオ編
過去編
過去編―西暦2020 年春夏―
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そして、同時に再会の約束。俺がまだ『コッチ』側の真っ当な人間でいるうちの最後の約束。
「……はぁ、無茶苦茶言ってるよ、螢」
そう言って木綿季は笑った。
その笑顔を今までの『作り物』ではなく、純粋な喜色。
あのデパートの風鈴の前で見た、それだ。
「木綿季、少し早いが……渡しておくよ」
「……?」
木綿季の誕生日は5月、今は4月の半ばだ。
誕生日プレゼント。
人生で初めて人の為に選んだ贈り物。
荷物から取り出したのは長方形の白い箱。
その中身は……あの風鈴だ。
「わぁ!!」
箱を開けた木綿季はまた満面の笑みを浮かべる。しばらくそれに見入り、がばっと顔を上げた。
「螢、ありが―――!?」
俺はゆっくりと顔を彼女から離すと立ち上がり、踵を返す。
「じゃあな、木綿季。またな」
「う、うん……って、え?い、今の……キ……ち、ちょっと、螢っば!?」
真っ赤になって口元を押さえながらどもる木綿季を振り返り、俺はもう一度微笑んでから、その場を去った。
この時別れた、大切な彼女との再会はそれから数年後となる。
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「ふむ、了解した。その少年――いや、失礼。日野坂君の『ホークス』入隊を承認する。……さて、水城君」
「はい」
「もう、戻る事は……」
「承知の上です」
「そうか」
ホークス総帥武田将は1つ頷き、傍らのホークスの紋を象ったペンダントを放って寄越すと、低く厳かな声で告げた。
「水城螢。貴殿を本日付で『特務機関ホークス第三師団隊長』に任命する」
「拝命します」
斯くして、後に世界を震撼させる『カタストロフ』事件。
その阻止を担った『紅き死神』こと水城螢、『全知の参謀』日野坂香夜の物語はここに始まった。
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