マザーズ・ロザリオ編
過去編
過去編―西暦2020 年春夏―
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のまま床に倒され、両手でムギュッと頬を潰される。
「おそ〜い!!」
「わうかっは(悪かった)……」
素直に謝り、頭をぽんぽんと叩くとくにゃんと表情を崩して、頬を染める。
「木綿季?」
「え、な、何でもないよ!?」
何が?
「えっと……水城君?」
置いてきぼりだった日野坂が目を丸くしながらこちらを伺っている。
「……よし、木綿季。先ずは降りろ」
帰り道。
木綿季、藍子(あの後来た)、日野坂をそれぞれお互いに紹介し、ようやくカオスな状況に終止符を打った。
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日野坂とはそれからよく話すようになった。周りは『日野坂が喋ってる!?』という珍事に揃いも揃って目を剥いていた。
そして知ったのは、意外と気さくな事、両親は有名な学者で世界中を飛び回っており、殆んど家に居ないこと、そして何よりも俺を驚かせたのはこの年にしてコンピューター全般に造詣が深く、極めてハイレベルな技能を所持している事だ。
俺は日野坂からその技術を学んだ。今思えば、このタイミングで日野坂と出会ったのは行幸と言えよう。
何故ならば、理不尽な世界が、牙を剥いたからな………
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学年が上がってまもなく、それは起きた。
「木綿季と藍子が、ですか?」
「ええ……。その様子だと、心当たり無いみたいね……」
心配そうに眉を寄せるのは木綿季のお母さんだ。
放課から2時間。何時ものように日野坂家に遊びに行こうとした所、門の前で出くわしたのだ。
携帯を開き、日野坂に遅れる旨の連絡をすると、言った。
「じゃあ、見てきますよ。家の鍵、お願いします」
ポッケから飾り気の無い物理鍵を渡すと、お母さんに渡し走り出した。
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Side木綿季
「どうして……」
体が震える。手足の末端は凍ったように動かない。
隣の姉も混乱から抜け出せて居ないようだ。
並んで座る自分達の左側には校長先生、右隣に担任の先生が座り、双方とも黙りこくっている。
先程から喧しく捲し立てているのは対面に座る数名の保護者達、弱者を虐げるのをいとわない、凶悪な光を目に抱き、興奮のため瞳孔は開ききっている。
厚い化粧の匂いが室内に充満し、空調がそれを否応なしに鼻へ届ける。
「――そこの所、学校としてどう責任を持つおつもりで!?」
「で、ですか
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