暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
マザーズ・ロザリオ編
過去編
過去編―西暦2020 年春夏―
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なった所でゆらりと立ち上がり、伸びをする。

今日は珍しく木綿季が「いっしょに帰ろ!」と誘って来たので、断る理由もなく頷いた。
優等生の木綿季は放課後も何かと教師に頼まれ事をされる事があるらしく、今日もその例に漏れなかった。
故にこんな時間まで教室で時間を潰していた訳だ。

そろそろ終わっただろうと、下駄箱に向かうべく席を立つと、教室の一番後ろの端っこ。そこで自分と同じくつまらなそうに外を眺めている人物を見つけた。

「……………」

日野坂香夜(こうや)
学年トップの筆記成績、50メートル走小学生記録を()公式に保持し、他のスポーツは何をやらせても一流のスーパー小学生だ。
そりゃあ、つまらないだろうな。弱冠10歳と少しで周りに競争相手が居ないのだから。

そんな理由からあまり話し掛けやすい相手では無かったが、俺には話しかけなければならない理由があった。

近年、世間の風潮で公共建造物のセキュリティーレベルの引き上げが為されている。その一環として、教室の施錠が小学校で義務化されつつある。
鍵当番に頼まれた教室の施錠をまだ帰らないのなら、日野坂に頼まなければならなかった。

「……まだ、帰らないか?」
「…………ん?」

自分に話し掛けて来たのが意外だったのか、反応が少し遅れた。俺が鍵を持ち上げチャリ、と音をさせると、日野坂は得心したというように頷き、落ち着いた声を発した。

「いや、僕も帰るよ。待たせて悪かったね」
「俺も、待つ人が居たからな。次いでだ」

お互いに積極的に外界と関わろうとしない性格ゆえ、会話をしたのは勿論、声も殆ど聞いたことが無かった。荷物を持ち、教室から出ると施錠する。
セキュリティーレベルの向上とは言っても使用しているのはアルミの物理的に施錠する前時代的なものだ。

教室から下駄箱と職員室は反対側のため、日野坂とはここで別れるものだと思っていたが……。

「……実はね。僕は君と話してみたかったんだ、水城君」
「それは、光栄だな。お前のようなやつから興味を持たれる事なんて毛頭無いような気がするが」

本心である。彼の事はお世辞ではなく凄いと思っている。今すぐ『然るべき場所』に行けば『奴等』に匹敵するであろう才能すら感じていた。

「……思った通り。謙遜だよね、それ」
「さあな」

言葉少なに用事を済ませ、下駄箱に向かう。
まだ付近で談笑する生徒達の声が聞こえて来た所で……、

「螢〜!!」

ぶんぶん手を振りながら走ってきて、ぴょん、ガシィ!!

「……って、まてまて!?」

ちなみに抱き付いて来たのではない。俺達はそんな関係じゃない。
ただドロップキックをかまされる事をした覚えもない。

避ける間も無く、腹にめり込んだ足にそ
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