第5章 契約
第67話 疫鬼
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えられないので……。
【その双子の妹とやらは、現在、生きているのか?】
可能性として高いのはこれ。既に死亡して居る可能性。
それに、その少女が死亡して居たのならば、今回の疫鬼に関係する事件の最中に、その存在が明らかに成る理由に対して簡単な仮説を立てる事が可能と成ります。
但し、その双子の妹とやらに関して、実はひとつ気に成って居た事が有るのですが……。
しかし、と言うか、矢張り、水の精霊は首を横に振った。
そうして、
【判りません】
……と、かなり哀しそうな雰囲気で、そう答えた。
そして、更に続けて、
【このガリアには、双子は不吉と言う伝承が有り、その伝承を信じたオルレアン大公が、双子の内の片方。妹の方を、夫人の実家の方に内々の内に預けて仕舞ったのです】
それ以後の、そのタバサの妹の消息に関しては一切不明です。……と、水の精霊はそう話を締め括った。
成るほど。確かに、双子が不吉と言う話は、この世界に限らず、地球世界にも有ったはずですから、そう珍しい迷信と言う訳では有りません。
まして、彼女ら……。タバサとその妹が生まれた時期はオルレアン大公シャルルと王太子ジョゼフは次の王位を争って居たはずですから、その時に双子が生まれた事は、次の王位を狙う人間としては非常に問題が有る事態ですか。
故に妻の実家。つまり、ガスコーニュ侯爵家。オルレアン大公が暗殺された後に、最初のクーデター疑惑に因り滅ぼされた家に預けた。
但し、もし、その時にタバサの妹らしき存在が、その侯爵家に居たとしたのなら、ガリア王家がその女の子を処分したとは思えませんね。
確かに、情報が無ければ誤って処分して仕舞う可能性もゼロでは有りませんが、ガリア王家の直系。血筋的に近い事を示す目印。蒼い瞳と髪の毛が、その少女の正体をガリア王家の一員で有る事を示すはずです。
そして、タバサの母親の髪の毛は金髪。瞳は碧眼。王家の血筋を示す特徴を備えては居ません。
ただ……。
ただ、ひとつ、そのタバサの双子の妹の生存を示すかも知れない証拠……と言うには足りないかも知れませんが、可能性を示すかも知れない論拠程度ならば、今の俺は持って居ます。
それは……。
俺は自らの右側に立つ紫の少女と、そして、背後に眠る蒼い少女を感じる。
そして、自らの左手首に刻まれた傷痕を……。
そう。あの紅い夕陽に照らされた夢の世界。ショゴスに呑み込まれようとしていた少女の存在。
あの世界は、おそらく俺の後ろで眠るタバサの夢。まして、あの世界から俺を助け出してくれたのは、間違いなく後ろに眠る少女。
そして、其処で出会った紫の髪の毛の少女は、俺の右隣に立つ湖の乙女。
ならば、あのショゴスに呑み込ま
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