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Magical Girl Lyrical NANOHA− 復元する者 −
第2話 目覚める魔法
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ーーーー!!」


目の前でこれから起こる最悪を思い浮かべる。
兄の名を力の限りの声で呼ぶ。
それを嘲笑う様に、怪物は葛葉に向かって突進していく。
その脆弱な体を吹き飛ばそうと迫る。

しかし……。









「ーーー『魔術兵装(ゲート・オープン)』ーーー」









葛葉の口から静かに告げられた言葉。
その言霊が呟かれた瞬間。
葛葉の周囲を眩い光が覆い、そして……。


「グォォォォォーーーーー!?」

「え?」


なのはの目が驚きに見開かれる。
光が徐々に消えていくその刹那。
新たな光が、なのはや怪物の視界を照らした。

なのはと同じ桜色の魔力光。
葛葉を包み込む光の中から放たれた一条の閃光。
綺麗に輝く桜光が、怪物を捉え、その雲状の体を貫いていく。
空中に吹き飛ばされ、貫き、引き裂かれた雲状の体は三つに分かたれ、別々の個体になった。
怪物はそれぞれに別の建物に降り立ち、唸りながら閃光の元を睨み付けている。
光は既に収まり、閃光の余波で生じた砂埃で葛葉の姿が見えない。


「危ないとこだったよ〜」

「ギリギリだったな〜」


砂埃の向こう側から聞こえる少年と少女の暢気な声。
間延びした声音が響く。
砂煙が徐々に晴れ、人影が浮かび上がる。

煙が晴れる前に二つの人影が現れた。
一人は黒髪の少年、葛葉。
もう一人は長いプラチナブロンドを靡かせ、花形の綺麗な髪飾りを着けた不思議な衣装を纏った少女。
年の頃はなのは達と同じくらい。
腕にイタチもどきを抱えながら歩み出てきた。


「さて、お前が何かは知らないがーーーー」


二人揃って、建物の上に降り立った怪物を睨む。


「僕の家族に手を出した以上ーーー許されると思うなよ?」



異形の怪物に向かい、宣言する。
サクラを……『戦略破壊魔術兵器(マホウ)』を召喚した以上、只では済まさない。
敗ける事などあり得ない。


「来いよ、異形の怪物達……。僕らが相手だ」

「やっつけるんだよ!」


覚醒を果たした『召喚せし者(マホウツカイ)』とそのパートナーたる精霊の少女。
相対するは、正体の分からない異形の怪物。
然れど、葛葉は恐れることなく。


「さぁ……神話の再現を見せてやろう」


不敵な笑みを浮かべ、一歩……怪物達に向かって踏み出す。


神を喰らう拳と森羅万象を巻き戻す『マホウツカイ』と。

世界を滅ぼす桜光の聖剣と鞘を身に秘めた『マホウ』の少女が。

初めて歴史に姿を表した瞬間であった。










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