第4話「仕事―裏」
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――こいつが血をもってない星人でよかった。
両断されたカメ星人と、いきなり現れた黒タイツのタケル。交互に見比べて言葉を失っているセツナを見て、タケルは何となくそう思った。
「……なるほど」
マナは呟き、踵を返した。
あの身のこなし、太刀筋、動きのそれ。どれをとっても一流のものだ。いや、一流とは少しちがうのかもしれない。第一、先程の太刀筋も一般的な剣術家のそれと比べても余りに拙いものだったといえる。だが、それは確実に鋭く、無駄は一切ない。いうなれば実戦のみ、死と隣り合わせでこそ会得できる経験という名の太刀筋だ。
身のこなしも、なにもかもが、実戦でのみ鍛え上げられたものなのだろう。
拙い。だが、確実に強い。
初めて見たときから気にかかってはいた。一体いくつもの血を乗り越えてきたのか、それを思わせるほどの目。だというのに身のこなしも雰囲気も、気配の察知もド素人のそれだ。
「……そういうことか」
普段のそれは彼のカモフラージュ。誰よりも一般人であることを匂わせ、それでいていざ仕事となったら噛み付く。
正に仕事人。
「まさか、あそこまで徹底した同業者がいるとは――」
――面白い。
くくと喉で笑い、遠いタケルに一度だけ目を送る。彼は彼でなにやらセツナに何かを話しているようだ。
「……問題は解決したな」
呟き、そのまま闇にまぎれる。
問題とはカメ星人のことか、それとも――
――もはやそこには誰もいない。
「……大和先生」
少し聞き覚えない名前かもしれないが、大和とはタケルの苗字である。セツナが驚いた表情でタケルの名を呼んだ。
「……先生は一体?」
彼女の質問に答えようと口を開いたタケルは、突然顔を赤くさせて、あさっての方向をむいた。
タケルが顔を赤くさせた原因。それはセツナの服だった。
先程の戦闘で脇をかすかに食いちぎられた時に、当然だが服も破られていたのだ。血は既に止まっているようで、カサブタが出来始めている。肉を食い破られたのはわずかでも、服は30cmほどが破れ、その結果として服がはだけている。
まぁ、つまりは腹部がはだけて、その綺麗な腹を顕著に見せていたのだ。女性に耐性がなく、童貞暦=年齢のタケルには刺激が強いといえる。
「とりあえず、コレを羽織ってくれ」
そう言って彼が上着として着ていた詰襟型の学生服―いわゆる学ランと呼ばれる制服―を彼女に手渡す。
「え? ……あの――」
どうして? と彼女が質問する前に「腹を」と簡潔にタケルが言う。
腹部に何かあるのか? セツナが自分の腹部に目をやって、そして今更ながらに気がついたのか。彼女もま
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