第4話「仕事―裏」
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悟したセツナだったが、不意にバケモノの首が何かに弾かれた。
ガン
という鈍い音共にその首が何度もはじける。
だがダメージはないのか、首をめぐらせて体をセツナに向ける。
――来るか。
とりあえず今のが何だったか、心当たりのある人物がいるが気にしないことにした。
竜宮 真名はじっと目を閉じ、その気配をたどっていた。今回の仕事は最近人を連続で襲い、無残な殺し方をしているという猟奇犯罪者。
「捕獲。それがむずかしければ始末してもかまわない」という仕事だ。
どういう経緯かは知らないが、今回の仕事がマナに回ってきたのだった。
――……捕獲しようと思っていたが。
スコープから標的を見やる。そこでは標的と戦う一人の少女がいた。
桜咲刹那が苦戦している。甲羅も硬いらしく、顎の力も異常なほどに強い。
――式紙でも、魔法でもないようだが、あれは一体?
彼女なら大丈夫だろうと、スコープから観戦していたマナが、事態は一変した。彼女の脇をかすめ、肉を食いちぎったのだ。
傷としては浅いようだが、彼女の覚悟を決めさせるには十分な一撃だったらしい。なにやら気をこめ始めている。
確かに、甲羅が硬い上に、あの首の尋常ではない動き。それに加えて顎の力。難敵といえる。
――だが。
「こんな街中では……感心しないな」
誰かに見られては証拠を消すのに一苦労してしまう。何せ彼女の仕事には証拠隠滅も含まれているのだから。
なぜ、とは聞かなかったし、必要もない。それが彼女の仕事のやり方だから。
「……やれやれ」
ライフルを構え、おそらく射撃としては超長距離といえるほどに離れた位置から異物の頭部と思われる位置をねらう。
といっても狙いは一瞬。
何の躊躇も見せずに放つ。約3キロメートルは離れているであろう距離から放たれた銃弾は的確に頭部の、しかも急所の一部であるこめかみを撃ち抜いた、に見えた。
「なんだと?」
ありえない、そう言いそうになってぐっと堪える。スコープを覗き込むが全く効いた様子はない。衝撃に首が弾かれただけのようだ。
「なら」
小さく呟いた言葉は、そのまま銃撃となって放たれた。
ピスピスピス
3発ほど続けて放たれた狙撃は狙い通りに全て眉間に。
「……む」
それでも効いた様子はないようだ。それどころか、楽しんでいるようにも見える。顔をしかめて、スコープから目を離す。
この銃が効かないとなると――
「――あれか」
いつも以上に少しだけ残酷な笑みを浮かべ、準備のためにその場を離れようとした時、それは起こった。
カメ星人―
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