百二十二話 The Red-Nosed Reindeer─赤鼻のトナカイ─
[9/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
……?」
「?なぁに?」
突然涼人が思い出したように……しかしどこかワザとらしく声を上げ、美幸はそちらを向く。涼人の手には何時の間に取り出したのか、少し大きめの紙袋が握られていた。
「?」
「あー、これな、やる……クリスマスプレゼントって奴だ」
「……へ?」
首を傾げた美幸に、涼人がやりずらそうに紙袋を差し出し、咄嗟に尋ね返してしまう。
涼人はそっぽを向いて、頭を掻きながら言った。
「まぁ、去年はお前寝てたし、一昨年はそれどころじゃなかったしで、お前とSAOで会ってからクリスマスのプレゼント何かやった事無かったろ。だから、元々今日明日渡そうと思って買っといたんだよ。ガキの頃は毎年やってたしな」
「…………!!こ、これ、私に!?」
「そう言ってんだろ。はよ受け取れ」
「う、うんっ!!」
コクコク頷きながら返事をして、紙袋を受け取る。中には、紙に包まれた柔らかい何かが入っていた。
「これ……」
「……丁度良いか。此処で開けろよ。今役に立つからよ」
「え?う、うん……」
そう言うと、美幸は涼人に手伝ってもらいながら紙袋の中身を取り出す。中身を見て……また歓声を上げた。
「わぁ……!!」
中身は、白を基調とした淡い色の可愛らしいコートだった。早速着てみると、なんとも驚くべきか。サイズはぴったりだ。何より……
「あったかい……」
美幸はコートその物を抱くように、胸元に手を寄せて服をつかんだ。涼人がニヤリと笑って言う。
「お気に召しましたかな?お嬢さん」
「え!?えっと……はい!とても!……その、りょう」
「ん?」
美幸は涼人の目を真っ直ぐに見詰めながら、彼女らしい、可愛らしい笑顔を浮かべながら言った。
「ありがとう……!」
「…………!」
言った途端、涼人が驚いたように目を見開き……
「?どうしたの?」
突然、美幸から顔を反らした。
「な、なんでもねぇ。んじゃ、そろそろ行こうぜ。もうすぐ向こうでタダでシュークリームくれるんだと」
「え?う、うん。あ、待って!」
何故か焦ったようにトコトコと歩き出した涼人に続くように、美幸も小走りに歩きだす。
隣に並んでから、再び美幸は口を開いた。
「……ねぇ、りょう」
「んん?」
「あのね、今日……帰ったら……ちょっと、ALOに来てくれないかな?」
「帰ってからか?あー、まぁちょいと約束あるからまぁあんまり長いとこだとアレだけどな……」
「あ、えっと……駄目なら、良いんだけど……」
俯きがちにそう言うと、ようやくまた美幸の顔を見た涼人は苦笑気味に言った。
「全然良いって顔じゃねぇっつーの。いいぜ。キリトの家の前で良いか?」
「う、うんっ!」
────
それから、数時間。
あれから更にしばらく遊んで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ