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SAO─戦士達の物語
百二十二話 The Red-Nosed Reindeer─赤鼻のトナカイ─
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う。

「うし、次はアレだな」
「へ?アレ?」
美幸が首を傾げながら涼人の見ている方向に目を向けると、其処には汽車が有った。

『……じゃなくて!』
否。汽車ではない。と言うかこんな所に本物の汽車など有るわけがない。
正確には汽車を模した、連結式の自動車だ。何両かが繋がれた状態で走っており、側面や天井部には周囲の建物と同じように色とりどりのイルミネーションが施されており、ポップなデザインになっている。

「ほれ、行こうぜ!」
「もぅ……うん!」
子供のように美幸の手首を引く涼人に呆れつつも、彼女は涼人に続いていく。刺すよな物である筈の寒さは、イルミネーションの柔らかな光と、と手首から伝わる暖かさが和らげてくれていた。

─────

汽車型の移動車の座席に並んで座ったのだが、予想外に座席が狭く、非常に密着する形で座るはめになった為に、心臓がやたら早鐘を打つのに耐える事数分。美幸と涼人は、先程まで居た建物群から少し離れた位置に来ていた。坂を下りるような形で車は走っていたので、高さ的にも先程居た位置寄りは大分下だ。見上げるような遠目に見ると、先程までごく近くに居た建物もまた違った美しさを持ってみる事が出来る。しかしそれ以上に圧巻なのは……

「……凄いね」
「……だな。でけぇわ」
目の前に有る。高さ三十メートルの自生モミの木を使った、クリスマスツリーだった。先程眺めていた物よりも、更に大きいそれを見上げつつ、美幸と涼人はしばらく固まったようにそれを見上げている。

「私、こんなに大きいツリー見たの始めてかも」
「あぁ?ALOで世界樹散々見たろ?」
世界樹も、クリスマスシーズンの今はそこら中にライトエフェクトが付き、きらびやかに飾りつけられている。そこかしこではイベントも起きているらしいから、今頃そっち方面で楽しんでいる人々も居る事だろう。
と、言われて美幸は首を左右に振った。

「ううん。そう言う事じゃなくて……リョウが言う通り、世界樹はこれよりおっきいんだけど……やっぱり、今目の前に有るこの木は、少し違う気がするの……何て言えばいいのかな……?ちゃんと、生きてる?」
「……って、木がか?」
「う、うん……緑色の葉っぱが見えて、木の皮が有って……やっぱり、何だか向こうとは少し違うような感じ……変、かな?」
「…………」
涼人の方を向いて聞く。と……いつものように、ニヤリと笑う気配がして、涼人は言った。

「いんや。良いんじゃねぇの?お前がそう思うなら、やっぱ違いがあんだろ。俺はよく分かんねーけど……」
「…………」
なんとも要領を得ないと言うか、気の利いた返しとは言い難かったが、それもまた涼人らしいと思い、苦笑してまた木を見上げる。

……と、

「あー、そうだ、美幸
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