百二十二話 The Red-Nosed Reindeer─赤鼻のトナカイ─
[4/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
し、教師陣は知らねえ。バレてねぇから校則違反じゃねぇ」
「だ、駄目だよ……もう……」
少し困ったように言った美幸だったが、最後の一言は笑顔で言って、二人は歩き出した。
「あ、桐ヶ谷君。……うん。ちゃんと美幸も一緒ね」
廊下でぱったりと出会って二人を迎えたのは、風巻杏奈だった。
「アン。こんにちは」
「よぉ風巻……って、どういう意味だよそりゃあ。俺が嘘でも言ってっと思ったのかお前」
不服そうに聞いた涼人に、杏奈はフンッと鼻を鳴らして答える。
「普段の自分の行いを省みてから文句は言うのね。……まあ仕事サボる為なら何でもしそうな感は有るけど、流石に美幸の事をそのダシにするほど貴方も落ちては無いだろうとは思ってるし。安心して良いわよ?」
「誉めんのか貶すのかはっきりしろや手前ェ」
「え、えっと、ふ、二人とも……」
若干カチンと来た様子の涼人と杏奈の間にパチパチと火花が散り……それを吹き飛ばすように、明るい声が三人の間に響いた。
「あ!涼人君!アン!美幸ちゃーん!」
「っ!?」
「あら、美雨」
「美雨ちゃん!こんにちは」
生徒会副長こと、天松美雨の物であるとはっきり、一発で分かるその声に、杏奈と美幸は即座に其方を向いて微笑み、涼人は何故か一瞬身体を硬直させる。
「三人で何してるの?」
「ちょっと桐ヶ谷君に説教をね」
「あははは……」
訪ねた彼女に何でも無いことのように言った杏奈だったが、美幸の苦笑に合わせるように、美雨は笑って言った。
「ありゃりゃ、大変だね〜。アンのお説教長いもんね」
「…………」
「?涼人君どしたの?」
黙り込んで美雨の事を若干怪訝そうに見る涼人と目が合い、美雨は首を傾げながら訪ねる。
それで、涼人は何か自分の中で結論を付けたらしく、首を横に振る。
「いんや、何でもねぇよ。てかまったくだぜ。いちいち説教ばっか長ったらしいんだからよ……まあ、何時もの事っちゃ事だがな」
「説教“ばっか”って何かしら?“ばっか”って」
イラッとした様子で聞いた杏奈に、涼人はニヤリと笑って返しながら言った。
「さぁな?見に覚えが無いなら、多分気にするようなことじゃねぇんだろ。さてと、行くか。美幸」
「ムカつく言い方得意よね貴方って……」
「え!?あ、えっと、ご、ごめんねアン!」
何故か慌てたように頭を下げた美幸に、杏奈は苦笑して返す。
「なんで美幸が謝るのよ」
「きっとあれだよ!アン!」
そう言って、美雨が杏奈に何かを耳打ちする。すると杏奈は、少し微笑んで小さく頷いた。
「……成程ねぇ」
「……へっ?な、何?美雨ちゃん何て……」
「おーい!美幸行くぞー!お二人さん明日な!」
「あ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ