百二十二話 The Red-Nosed Reindeer─赤鼻のトナカイ─
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時にユイが彼女の肩から飛び上がってリョウの顔の目の前まで接近する。
と同時に、アスナの顔もリョウの顔の前まで接近してくる。
「ちょっとリョウ!クリスマスなのにサチと約束の一つも無いの!?」
「ねーねはほったらかしなのですか!!」
「は、はぁ?なんでそこで彼奴が出るし……ねぇよ。なんでわざわざ……」
其処まで言った所で、アスナ(とユイ)はますます怒ったらしく、怒鳴った。
「もー!あり得ないよ!」
「信じられません!!」
「俺が何をしたと……つーかんな事考えてる暇なかったっつーの」
対して其処まで言われる覚えのないリョウは少々不満げに口をとがらせる。しかしそれに更に怒ったように、アスナはリョウに問うた。
「なにもしないから問題なの!!もう!イブもクリスマスも一人で、サチが可哀そうだって思わないの!?」
「思わないんですか!!」
「思わないっ……て言ったら殴りそうなんだがなお前ら。俺の事」
「「当然でしょ(です)!!?」」
「理不尽極まりないわ!!てか近い!離れろ!」
リズムよく答えた二人に、涼人が突っ込むが、二人の勢いはとどまる事を知らずだ。
ますます迫る二人から逃げるように、涼人は背骨を反らす。
「いい!?サチがきたら、ちゃんと明日か明後日どっか行こうって誘うの!分かった!!?」
「はぁ!?だから、なんで俺がんな事……」
「良・い・か・ら!!」
「叔父さんは鈍すぎです!!!」
更に更にと涼人に迫る二人から必死に身を引きながら、せっぱ詰まったように返した。
「わ、わぁった!わぁったから離れろって!いい加減この体勢キツイキツイ!!」
「本当?ちゃんと誘う!?」
「叔父さんの名前に誓いますか!?」
「誓う誓う誓う!!父と精霊の御名において誓うから離れろぉぉぉ!!」
いい加減床に向けて座っている椅子がひっくりかえりそうになった事を本気で恐れたリョウがご大層な物に誓うと、ようやく二人は体を離した。
「ってか……キリトお前、助けろよ……お前の奥さんと娘、どうかしてる……」
「いや、悪い。俺も二人が正しいと思うし、何より無理!」
「薄情な……」
そう言ったリョウが息を整えていると……図ったように丁度、玄関の扉がノックされた。
「あ、はーい!」
うってかわって明るい声でアスナが玄関に向けてかけて行き、ユイはその手前で止まる。
「ごめんね?遅くなって」
「ううん。別にただお話し寄ってだけだもん。気にしないで?今お茶入れるね?」
「あ、手伝う」
「ううん!良いの!それよりリョウが何か用が有るって!」
「え?」
「…………」
そんな会話が聞こえ、リョウは額を押さえて黙りこみ、キリトは苦笑しながら彼女の到着を待つ。
「お邪魔します」
「ねーねー!」
「わっ!?」
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