暁 〜小説投稿サイト〜
転生者が歩む新たな人生
第12話 魔法学校での日々
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 大泣きに泣かれた。

 ネギ兄さんに会う会わないよりも、ネカネ従姉さんに会う方が辛かった。

 泣かれるのはわかってたから。

 だからさっさと日本へ帰りたかったのに。
 何で連れてくるかなぁ、高畑さんは………。



 ネカネ従姉さんは、父ナギ・スプリングフィールドの兄、ロギ・スプリングフィールド叔父さんの一人娘である。今は石像と化しているロギ叔父さんは、あの事件の日までオレ達双子を育ててくれた恩人だ。

 ロギ叔父さんは、バカ親父とは違い、並み程度の魔法使いだったみたいだけど、親子3人慎ましく暮らし、季節の折々にちょっと贅をこらすような「魔法使い」ということを除けばごく一般的な家庭人だった。
 オレ達双子は、ナギ教の村人がわざわざあつらえた母屋から離れた別宅で3歳の誕生日から暮らしていたが、夏の熱帯夜のある夜、寝苦しくて起きたオレが冷たい飲み物でももらおうと母屋に伺った時に、叔父夫婦がたまたま話しているのを立ち聞きしたことがある。

 それは、ネカネ従姉さんだけでなく、オレ達双子の分の学資等の積み立ての話しだった。

 なんと、バカ親父は叔父夫婦に養育費などをまったく渡していなかった。「英雄」とか呼ばれ、大戦時には「紅き翼」とかいう名で傭兵をしていてそれなりに金はあっただろうに………。少なくとも「闇の福音」の600万$という懸賞金は手元にあったはずだ。
 それなのに、一銭も養育費を渡さず押しつけた不肖の弟の息子というだけで、2人分もの余計な積み立てをしてくれていたのだ。本来ネカネ従姉さんの分だけで良かったのに。

 本当に情けなくて頭が下がる思いだった。
 叔父夫婦には本当に感謝している。

 スタン爺さんとココロゥアおばさん、そして叔父夫婦だけはなんとか石化解除して助けたい。
 あの村でオレ達双子を「英雄」の息子としてしか見ない「ナギ教」の奴らとは違う、本当のオレ達を見てくれていた数少ない大人だから。





  ☆  ★  ☆  





 「泣く子と地頭には勝てぬ」とはよく聞くが、あの日乱入してきたネカネ従姉さんにより、なし崩し的にオレのメルディアナ魔法学校の在籍が決まった。

 符術師や神鳴流剣士として生きていけるオレに「魔法使い」の称号など意味がないと話しても聞く耳を持たず、まったく話しにならない。しかも泣く。只でさえ女の人が泣くのを見るのはキツイのに、ネカネ従姉さんのような美人さんがとつとつと泣くのは本当に堪える。反則だと思う。

 ぶっちゃけ、日本に逃げ帰ったら追っかけてきそうで嫌だった。

 で、妥協の産物として「メルディアナ魔法学校を卒業するまではここで暮らす」ということになった。

 ネギ兄さん?
 最初の挨拶が済んだらすぐ席を立ったよ。
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ