第2話「受容」
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「いたい……」
お尻を押さえ、目に涙を溜めているその少年。まだ10歳ほどだろう。
「……子供?」
その不自然な光景に、タケルはほとんど無意識呟いていた。
――この辺には初等部でもあるのか? いや、確か初等部は隣の駅で降りなければならないはずだ。
だったら……とそこまで考えて手を叩いた。2人の美少女に顔を向けて一切の表情も崩すことなく彼は問いかける。
「誘拐?」
「何でですか!?」
初対面とは思えないほどに気合いの乗った突っ込みが返って来た。
――このツインテールの娘、出来る。
などとどうでもいい考えを頭にめぐらせている間に、少年がキッと立ち上がった。
「僕はガキじゃなくて、ネギ・スプリングフィールドです」
「……」
拳を固め、きっぱりといい放った少年の言葉はとりあえず無視。再び顔を少女に向けて首をかしげる。
「……じゃあ迷子?」
「ええ、多分そうやと思います」
今度は黒髪の少女が答えてくれた。
「って、無視しないで!!」
ネギという名前らしい少年がこれまた10歳とは思えないほどに見事な突っ込みを決めてくれる。
ここは関西圏なのだろうか? と真剣に考えこみそうになるタケルに、今度はツインテールの少女が問いを発した。
「あの、その制服は高等部のですよね。どうしてここに……?」
「……」
少女の問いに暫しの沈黙。
「……」
「…………?」
いきなり黙ってしまった高校生。あまりに長い沈黙に少女がさすがに訝しげな顔をしたとき、彼はなんとも素敵な答えを発した。
「……道に迷った」
「「「…………」」」
2人の少女と少年が同時に沈黙し、目の前の男をジッと見つめる。
――ああ、視線が痛い。
「「「「……」」」
タケルにとって地獄とも思える数秒の沈黙の後、
「あ、そういえばウチら用事あったんや」
黒髪の少女が沈黙を破るように手を叩き、ツインテールの少女もそれに「あ」と頷き、
「じゃあ、その……がんばってください。それに君もちゃんと帰りなさいよ!」
「……う、ぐう」
明らかに励ましという名の哀れみで応援され、しかも10歳程度の子供と同じように扱われたことにタケルが苦々しげに頷く。
「さっきはぶつかってしもうて、すいませんでした〜」
「あ、ああ」
黒髪の少女の謝罪に、タケルは僅かに答え、それを見届けた少女達が笑顔で走り去ろうとしたとき、突如頭上から彼等に声がかかった。
「いや〜、いいんだよアスナ君」
「え?」
彼女たちが足をとめ、声の方向に振り返る。
窓から顔を出し、少々疲れたような、それでいて人の良さそうな笑顔で手をふる男
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