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重圧が放たれる。それは堕天使に放たれたものだろうに、その余波だけで地面や建物に亀裂が入り、砂や石が宙に舞っている。
「さぁ、遊ぼうぜ? 堕天使さんよぉ」
「あ、あぁ……あぁぁ」
少年が両手を広げ、ゆっくりと一歩づつこちらに向かってくる。にやつい目付きに、三日月のようにつり上がった唇。堕天使にはそれが死神に見えた。
「くっ来るなぁ!! 来るなぁあ!!」
堕天使は自身の光の力を凝縮した光の槍をがむしゃらに投げ続けた。その威力は中級悪魔すら葬れる程の、ましてや人間ならばオーバーキルになる程の威力がある。だが、その光の槍は少年に辿り着く直前に全て粉々に砕かれた。少年を止めるものはこの場に存在しないのだ。
「tjtjなひdmpwmPpmjtpjMlgmp!!!!」
言葉にならない悲鳴を上げ、堕天使特有の黒い羽を広げて空に逃げる。"人間"が空を飛べる筈がない。しかし、初めから少年にはこの堕天使を逃がすという選択肢はなかった。
「極彩と散れ」
それは、自分の真後ろからした聞こえてはいけない声。即座に後ろを振り向けば、血のように赤い目をした少年が両手を広げていた。堕天使はその目を見た瞬間本能で悟った、『喰われる』と。
次の瞬間、ガラスが粉々に砕けたような音が辺りに響き渡った。
(何だ? 今の音は? 建物のガラスでも砕けたのか? いや、違う。もっと私の近くで……それも違う。私が)
その答えに至った瞬間、堕天使の体が粉々に砕け散った。そして、堕天使だった破片は十字が描かれた血のように赤い魔法陣に吸い込まれ、この世から完全に消えた。
「理解したか? これが、"命を喰らう"ってことだ」
少年はそう言い捨てると、何事もなかったかのように真夜中の町を歩きだした。
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