第7話 甘い菓子には渋いお茶が一番
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
八とユーノは店内の雰囲気を見てそう感じ取っていた。ユーノは勿論新八もこう言った店の雰囲気は珍しいのだろう。
無論、江戸にも喫茶店はある。だが、こう言った小洒落た感じの喫茶店は少ないのだ。
「どうでも良いんだよ。俺は花見をしたって桜より団子を取る派だ。一々外見なんか見てらんねぇんだよ。それよりさっさと糖分が欲しいぜ」
「とことん自分勝手ですねあんたは」
新八の呆れも無視し、銀時は手近なテーブルに腰を下ろす。それに続いて神楽も座り、新八も溜息混じりに椅子に腰を掛ける。
定春は床に寝転がっていた。流石に椅子には座れない。あれだけでかいのだから座った途端椅子が潰れるのが目に見えているのだ。
「さぁてと、この店のラインナップはどうなってっかなぁっと……おっ、結構な品揃えじゃねぇか。銀さんワクワクしてきたぞぉ」
「でも酢昆布置いてないアル。この店は駄目アルな。近い内に不況の嵐に飲み込まれて人知れず消えていく運命が見えるアル」
「店内でそんな不吉な事言うんじゃねぇよ! 少しは空気を読めこの毒舌チャイナ!」
等と様々な言葉が飛び交っていた時、店の奥から誰かがやってきた。
出てきたのは青年であった。すらりとした背丈に黒いストレートな髪形をしており黒いエプロンを装着し、手には鉛筆と注文用のカードが握られていた。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか……ってかデカッ! 何この犬でかすぎ!」
流石の青年も定春を見た途端驚く。そりゃそうだ。定春は見た目こそ子犬に見えるが実際は軽自動車以上の大きさを誇っているのだ。因みに軽自動車でピンと来ない人は小さい車を連想して貰いたい。大体そんな感じなので。
「お、お客様! 当店ではペットの入店はお断りしてますんで、誠に申し訳ないんですがペットを外に出して貰えませんか?」
「んだよゴラァ! 定春はペットじゃないヨォ! 私達の大事な家族ネ」
「嫌、家族だってのは分かりましたから。でも衛生上の面もありますんでご了承頂けませんと……」
「そんな小難しい言葉並べたって駄目アル! 私騙されないヨ! そう言って外に出た所で定春にあぁんなことやこぉんなことする腹積もりアルよ。男は皆獣アル! 信用出来ないアルよ!」
「人を変態みたいに言うなぁぁ! っとと、とにかく一刻も早くペットを出して下さい。これじゃ他のお客様のご迷惑になりますし、何よりこのままじゃ注文も受けられませんよ」
青年と神楽の言い争いは続く。店員と思われる青年は定春を外に出せと言うが、神楽は頑としてそれを聞き入れようとしない。このままだと永遠にこれが続いてしまい、銀時は糖分を摂取できなくなってしまう危険性がある。
「おい神楽。その兄ちゃんの言う通りだろうが。さっさと定春を外に出せよ。でねぇと俺が糖分をとれねぇ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ