§48 永すぎた乱戦に結末を
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れにしてもなんだこれ。考えたやつ馬鹿じゃないのか」
カンピオーネの勝敗は読めない、というは定説だ。どのような局面でもただひたすらに勝利を求め成し遂げるのがカンピオーネなのだから。だが、戦いのフィールドが「盗み」ならばおそらく自分の一人勝ちだろう。負ける可能性もあるだろうが、勝てる公算が非常に高い。それと同じように闘いのフィールドが「初見の決闘」ならば。おそらく目の前で暴れる彼の一人勝ちだろう。蘇生にカウンターに初見殺し満載過ぎる。
「情報があったとしても最期がアレではな……」
最後の能力がまつろわぬ神々の召喚であった時点でこちらにとれる手段は王への奇襲しかない。だが相手はあの脳筋馬鹿とも互角以上にやりあう手練れだ。女王並に動く王、しかも相手は蘇生が使える。ここまできるとちゃぶ台返しのような荒業を使わないとどうしようもない。それか戦闘というフィールドに立たないように立ち回る必要がある。彼と正面から向かい合うのはどう考えても馬鹿馬鹿しい。
「チェスならルールの不備を指摘するところだな」
しかし苦々しく言う黒王子は「勝てない」とは言わない。勝算は限りなく低いが零ではないのだから。第一邂逅さえ凌げればどうにか出来る、気がする。
「……まぁ、今は奴が敵でないことを喜ぼう」
やはり、勝てない訳ではないとわかっていてもあんな出鱈目な奴と戦いたくは無い。自分は戦闘狂などではないのだ。敵対しない限り、無理に闘う必要など無い。そこまで考えた所で、こちらに接近する気配。
「黒王子様とお見受けします。よろしいですか」
アレクの背後で叩頭するのは古めかしい中華の服を着た男。帯刀している剣も時代を感じさせる。
「む。お前は誰だ?」
気配が異質で、呪術的な雰囲気を醸し出す男は十中八九、幽霊だろう。おそらくは黎斗が喚びだした有象無象の亡霊のうちの一体。
「申し遅れました。私は破魔の主こと水羽黎斗の臣下の一人、元譲と申します」
眼帯をした男の瞳から思考を読もうとするも、失敗。そう簡単に意図を知らせるつもりはないらしい。
「ほう、アイツの臣下か。で、何のようだ?」
「僭越ながら、失礼します」
言うが早いか、男はアレクの周囲に札のついたナイフを投げる。自分とアレクを囲う様に。
「何のつも――」
詰問しようとした所で、周囲の景色がめまぐるしく動き出す。闇の、死の気配が急速に薄れていく。
「……!!」
世界が静止する感覚。直後、アレクは冥府の外に立っていた。
「戻った……?」
「不躾ながら。主の命で退去させて頂きました。
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