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魔王の友を持つ魔王
§48 永すぎた乱戦に結末を
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もおそらくはないでしょう」

 蛍の光が集い刀身を修復する様と、帯電した電気が爆ぜる光景から蛍火、などと優雅な名前を付けらた。だが、芸術性目的の剣でないことはエルの解説を聞くまでもなくわかる。

「これを、恵那に……?」

「まだ改良途中なので強度は脆いです。大事に使ってあげてくださいね」

 完成したらどうせ恵那に渡す予定だったのだろう。恵那の力を引き出しやすいように構築されたルーンがそれを物語る。

「恵那さんに渡す役、っていう美味しいところをもってったから怒られるかもしれません。その時は援護、お願いしますね?」

 冗談めかして笑うエルに、恵那も思わず笑みを零す。

「うん。……ありがと、行ってくるね!」

「はい、御武運を」

 敵を黎斗が駆逐するのは大丈夫だろう。しかし、その後の黎斗は疲労困憊で動けない筈だ。そこで寝返り不意打ちがあれば、黎斗も死ぬ。それを防ぐための護衛二人の投入だ。

――万が一は頼みます

――任せて

 アイコンタクトはほんの一瞬。

「いくよジュワちゃん!!」

「あぁもう、貴様待て!!」
 
 それだけ呟き追いかける彼女は、瞬時に音を置き去りにする。ソニックムーブにおける破壊など気にする気配は微塵も無い。もう壊れているのだからこれ以上壊れても変わらないだろう、と考えているから。

「これが、黎斗さんの、切札…」

 呆然とする甘粕の視界に写るのは、高層ビル群を足蹴にする牛に比肩する、巨大な鳥。全天を覆う怪物が遙か高くに飛び上がり、大地に焔と雷、そして流星群をたたき落とすその光景。それは正に、黙示録。

「これが、羅刹の君……」

「とりあえず逃げましょう。流石にこれ以上いると邪気に呑み込まれます」

「そうですね」

 エルの言葉に賛同して、甘粕と馨は走り出す。背後で大地が瞬いた。牛を覆い尽くす光線が、天に向かって放たれる。それは正しく光の柱。絶叫と共に牛の輪郭が崩れ去っていくのは、二人には認識出来なかった。



●●●



「……これはひどい」

 ビルの残骸、その屋上部に座った黒王子は呆れながら缶ジュースを開ける。もう馬鹿馬鹿しくて戦っていられない。貸しを作ってやろうと参戦したがこれでは借りを作ることになりかねない、というか自分が参戦しようが参戦しなかろうがこれは結果は変わらないだろう。本来なら帰って不貞寝したいのだが、あいにくこの薄暗い空間から出る術がわからない。張本人に聞くのは馬鹿げているし、手持ちの呪具で突破が出来ない辺り権能の類だろう。

「まぁ、幸い害は無いようだしここで見物と洒落込むか」

 突如現れた八人目、彼の権能を観察する良い機会と割り切ることにして青年は優雅に眼下をみやる。

「そ
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