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魔王の友を持つ魔王
§48 永すぎた乱戦に結末を
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前」

「マスターのネーミングセンスはこんなもんですよ」

 呆れたように、エルは呪符をもう一度見やるとそれを恵那の額に翳す。

「痛いの痛いのとんでいけー……これで呪文あってますよね?」

「今はそんな事してる場合じゃ……ッ!?」

 自信なさげなエルに詰め寄ろうとした恵那が、絶句した。ふざけている、としか思えないその呪文を引き金に呪符が輝いて。光が収まる頃には自身の治癒が完了していたのだから。

「何が……」

「軽い回復の呪、ですよ」

 少名毘古那神の権能で作成した治癒の湯に浸した呪符だけあって性能は中の上、といったところだな、などと内心で評価するエルだが、ジュワユーズは彼女に怒りをぶつける。これでは本当に恵那が死地へ行きかねない。

「さっきから貴様何のつもりだ!!」

 詰め寄る剣の化身に対し、エルの答えは単純明快。

「武器を、見繕ってきました」

「は?」

 予想外の答えにジュワユーズが一瞬フリーズする。

「今回は規模が規模ですので、私も動かなければならないかと、マスターの小屋で武器の調整を」

 淡々と語る彼女だが、疲れたように周りを見渡す。

「まぁ、この光景を見るにそんな必要は無かったようですね。冥府を顕現させたようですし。油断は禁物ですが」

 やれやれと、そんな表情を残しつつエルは恵那に札を一つ渡す。

「とりあえず、非常事態ですので一番恵那さんと相性のよさそうな子を」

「何、これ……?」

 受け取った恵那はその札から放たれる凄まじい存在感に戦慄する。これの纏う気配は眼前の化身に匹敵するような--

「馬鹿な!! 蛍火(ほたるび)だと!!」

 ジュワユーズが、怒鳴る。それは黎斗の倉庫の中に眠る、強大な力を持つ霊刀。

「そ。これなら大丈夫でしょ」

 そう言って笑うエルは、剣の文句などどこ吹く風。

「何、これ……」

 伸ばす手が、震える。刀が、恵那を試すようにぱちり、と光った。長さは1メートル程だろうか。刀身には、何かの文字が呪力と共に刻まれている。

「時間が無いので簡単に。”雷切”竹俣兼光と蛍丸を熔解して打ち直し、マスターが”嵐”を意味するルーンの”ハガラズ”、といくつかマスターが弄った(・・・)ルーンを刻み呪法をかけました。スサノオ様の系譜に連なる恵那さんなら”嵐”と相性が良い筈ですので、ハガラズを主体に」

 サラッと話すエルだが内容は物騒極まりない。名刀を複数溶かして打ち直しているのだから。そして黎斗が直接刻む数々のルーン。色んな意味で関係者が知ったら卒倒しそうな代物である。

「嵐を引き連れ雷を帯び刀身は自己再生、オマケに矢避けってなかなかイイ性能だと思いますよ。気性も穏やかですから暴走
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