第三十二話 少年期N
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なり叱って悪かったな。ようこそ、新入生諸君。―――歓迎するよ」
先ほどまでの厳しい表情から、ふわりとあたたかい笑顔がこぼれる。キリッとした佇まいで、まだ幼さがあるものの、かなり綺麗な人だ。フレームのついたメガネをかけており、腰まで伸びた紫の髪を一つ括りにしている。なんだか委員長とかそういうのが似合いそうな先輩だ。
そんな先輩の後に続いて、俺たちは図書室に入る。そこからカウンターの方に目立つようにチェックポイントと書かれている看板を見つけた。どうやらメガネの先輩が最後のスタンプラリーの担当だったらしい。
「お、もう1人美人系のお姉さんがいる」
「本当だ。あの人もスタンプラリーの担当の先輩みたいだね」
「へぇ、どれどれ」
小声で話す少年CとBの会話に興味がわいたので、俺も覗き込むようにカウンターを見つめる。ただの野次馬根性だが、確かに遠目から見てもわかるぐらい目立つ髪色の人がいた。その人は俺たちとメガネの先輩を見つけるとニコッと笑顔を浮かべて、小さく手を振ってくれた。
「お疲れ様、レティ。その子たちで最後かしら」
「あぁ、図書室に来るのはこれで最後だろう。ハンコを押してやってくれ」
「もちろんよ。それじゃあ、用紙をお姉さんに渡してくれる?」
「は、はい!」
どうやらメガネの先輩とこの先輩は友人同士らしい。雰囲気から親しいのがわかる。緊張した様子でプリントを渡すメェーちゃんがおかしくて、くすりと笑ってしまった。それにしても、なんだろう? なーんか、どこか既視感があるんだが……。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん」
「え、どうしたんだ。アリシア」
「あのメガネの先輩さん……なんとなく同僚さんみたいな感じがする」
「……えぇー」
同僚さんってあの同僚さんだよな。いつでも全力全壊(誤字あらず)で高笑いしている同僚さんのことですか。改めて見ても、きびきびしていて、すごく真面目そうな先輩なんだけど。……いや、同僚さんも傍から見たら優秀で知的美人っぽい感じなんだよな。傍から見たら。
……もしかして、俺の感じた既視感もそれなんだろうか?
「みんな、気を付けて教室に帰ってね。それじゃあ、私たちも片付けに入りましょうか」
「そうだな。ふぅ、しかし少し喉が渇いたな。教室に戻る前に私は何か飲み物をもらってくるよ」
「あら、それなら私の持ってきた飲み物がここに―――」
「いらない。私は君のそれを飲み物という分類には認めていない」
全力で友人さんからの飲み物を拒否するメガネの先輩を見ながら、俺は首をかしげる。うーん、やっぱりわからん。まぁ、またどこかで会える機会があったらでいいか。そうしよう。俺たちは先輩方に頭を下げ、そのまま教室にむけて歩いていった。
さて、あとは給食を食べたら今日は終
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