第三十二話 少年期N
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待を持ってしまうのはおかしいなことではないだろう。…………ん?
あれ、ちょっと待てよ。ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ……うん、1人足りなくないか。俺は目だけで辺りを見渡すと、右側の席が1つ空いていることに気づいた。やべっ、あいつのこと忘れてた。
「はい、それではみなさん。さっそく今日の出席と健康観察を――」
「よっしゃぁーー! たどり着いたッ!! あ、先生おはようございます! あと俺、超元気です」
「……おはよう、ランディ君。うん、間違いなく元気ね」
先生が出席確認をする直前に滑り込みで入ってきた少年C。友人の中で一番騒がしく、ある意味俺以上にどこかぶっ飛んでいたりする少年であった。
「うーん、始業時間は過ぎているから遅刻は遅刻なんだけど、もしかして通学中になにかあったの?」
先生は健康観察表に「ランディ君超元気」と呟きながら書いている。出席簿にチェックをつけながら、少年Cを心配そうにじっと見つめる。その視線を受け、少年Cは頬を少し赤く染めながら頭を掻いた。
「実はコッペパンを口にくわえながら、曲がり角を曲がり続けることに夢中になりすぎて遅刻しました」
「あれ、おかしいな。理由聞いたのに全然理解できない」
「学校が始まったら絶対やりたいと思っていたんです。これは自然に運命の出会いフラグをたてられる王道シチュエーションだって友人から聞いたんで」
おい、俺の方を見ながらしゃべるな。俺はまだまだあきらめないぜ、みたいな顔でサムズアップすんじゃねぇ。それは女の子がやるから王道なんだよ。なんでお前がやっているんだよ。
「9回目ぐらいでパンを全部食っちゃったので、慌てて走ってきました」
「『自然』と『運命』って言葉を先生と一緒に習おうか」
「次はもうちょっと家を早く出てからやります。すいませんでした!」
「失敗から学ぶことは立派ですね。素直にほめられないけど」
やめる気が一切ない宣言を清々しい表情で告げた少年Cに、先生は後で放課後お話しようね、と哀愁漂う笑顔で伝えていた。
「……ここで俺が『そこはトーストくわえなきゃダメだろ!』って乱入したらダメかな」
「絶対やめろ」
左隣に座っていた少年Bに頭をはたかれた。
******
「とりあえず始まりました、オリエンテーション!」
「始まったー!」
ドンドンパフパフというノリで告げる俺とアリシア。先生からもらったプリントを眺めていたみんなから仕方ないなぁという感じに拍手をもらえた。優しいね、お前ら。
「えっと、今日は校舎をまわってどんな施設があるのかを知ることと、場所を覚えることがめあてだよね」
「うん。印の付いているところに行くと、上級生の先輩がスタンプを押してくれるらしいよ」
メ
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