異典:第二次聖杯大戦・前編
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ており、“時”のライダーを一瞥した後、手にした槍で頭部を突き刺した。
槍は先端のみ刺さりそれ以上刺さることはなかった。
だが、それで充分だった。
刺さった事実に嬉々として“天”のライダーが笑い声を上げた。
「はははっ!! さあ、鎖が解けるかこいつの命が尽きるか、どちらが先かっ!?」
槍を引き抜く。先端のみが刺さったままになり、その先端を蹴り飛ばした。先端には“ヴォルテールの肉片”が付着していた。
「っク、ははっ」
僅かに笑みを漏らしながらも休むことなく、刺して、抜いて、蹴り飛ばす。
「やめてぇええっ!!」
悲痛な叫びと共に“時”のライダーが突貫する。
「かかったな、愚か者」
突進をアクロバティックに躱した“天”のライダーはその最中に宝具でもある鞭『罰する鞭』で“時”のライダーを絡めとって足下に出現させ、短くなった槍で脳天を貫いた。
「ふん。中々の余興だったな」
消え逝く竜と敵を見下す“天”のライダーは槍を霧散させ、竜を呼ぼうと手を掲げる??
「――っく、こいつ……!」
咄嗟に槍を出し、竜――フリードの脳天に突き刺す。
その一撃によりフリードは完全に消滅した。
が、“天”のライダーの左半身は食い千切られ、彼女も消滅を始めていた。
「朽ちかけても、竜……か。ぬかったな……」
己の慢心で再び命を落とした“天”のライダーは自嘲しながら消えた。
「……!!」
自身のサーヴァントの敗北に気付いた美歌師は逃げる算段を整えようと魔術の行使を中断し、駆け出そうとする。
「??迂闊ですね」
美歌師が後ろを向いた瞬間に、いつの間にか投擲されていた黒鍵により頭部、両腕、両膝を串刺しにされた。
美歌師は断末魔をあげる間もなく速やかに命を落とした。
イエロウは溜め息を吐いて頭巾を外し、金色の髪を手で薙いだ。
「どうやら、ライダーも敗北……というよりは慢心でしくじりましたか。でもこれで監督役に専念できますね」
肩の荷が降りたかのように、イエロウは肩を回しながら廃ビルを後にする。
(さて、先ずはホテルに帰還しないことには始まりませんね)
サーヴァントを失っても悲壮感など微塵も感じさせずしっかりとした足取りで町中を歩いて行く。
少し歩いてイエロウは思い出したように「あぁ」と漏らした。
「??聖杯、どうしましょうか」
監督役にあるまじき発言は夜空に消え、戦いは続いていく。
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