異典:第二次聖杯大戦・前編
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八月一日 零時六分 埠頭
日付が変わったばかりで繰り広げられるソレは戦いと呼ぶには余りにも激しいもので、お互いの繰り出される剣戟は人の領域を遥かに超えていた。
その少し離れたところで男が吠えた。
「セイバー! さっさとヤツを殺せっ!」
男は自身の使い魔に怒号を飛ばす。セイバーと呼ばれた赤い戦闘服を着た赤髪の偉丈夫は敵と切り結びつつ嘆息しながら己の主に返事をした。
「そうは言うがなマスター、この“セイバー”もなかなかに手ごわくてな」
そんなセイバーと呼ばれた男にマスターと呼ばれた男はさらに怒号を飛ばした。
「せめて飛ばないようにしてやってんだろうが! 早くしねぇとこっちが死にそうなんだよ!」
文句を言い続けるマスターは今、窮地に陥っていた。
「くそ〜! なんでボクの攻撃が当たらないんだよ!」
水色の髪の幼さの残る青年は、マスターと呼ばれる男に水色の雷の槍を放ち続ける。
だが、男はそれを紙一重で避けていき、避けられなさそうな雷の槍は炎の壁を地面から噴き上がらせ、身を守っていた。
数度、己が敵と斬り合い、赤いセイバーは間合いをとる。
すると、赤いセイバーが己の主に向かって、ある質問をした。
「所でマスター。今、“何時何分”だ?」
「はぁ? テメェ何言って――」
「宝具に関する事だ。早く教えてくれ」
赤いセイバーは敵を見据えたまま自身のマスターに早く返答しろと促した。
「ちっ。…午前零時“七”分だ。っと、あぶねッ」
腕時計を見ながらも紙一重で雷の槍を避ける男。
それを聞いた赤髪のセイバーは己の敵であるもう一人のセイバーに向かって言い放った。
「決着をつけるぞ。“時”のセイバー」
「望むところ」
赤いセイバーの敵である“時”のセイバーと呼ばれた人物は、黒い軍服調の服を纏い、輝く金色の長髪をたなびかせ、瑞々しい肢体を持ち、十人が十人とも美人と言える美しい女性であった。
彼女は静かに、しかし力強く、赤いセイバーに応えた。
両者は必殺を決めるため力を溜める。
赤いセイバーは鮫の背鰭を模した赤い大刀を構え。
“時”のセイバーは自分の相棒とも言える黒い戦斧を、
《Zamber form》
無機質な機械音声と束の上部分にある回転式弾倉から凝縮した魔力を充填して、空薬莢を吐き出すと共に金色の光り輝く大剣と化した雷の剣の刃先を赤いセイバーに向けた。
対する赤いセイバーは、自身の得物である刀を鳴動させていた。
己の敵を仕留めんと互いに跳ぶ。
「赤天の――」
「雷神大剣――」
両者は必殺の一撃を――
「刀ッ!!」
「音速斬刃!!」
叩き込んだ。
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