第8話 次は北の森だそうですよ?
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って管理され、森の恵みを人々に与えて居た森だと言われても、俄かに信じる事は出来ないな」
そう。リュ−ヴェルトがここを訪れたのは、その不穏当な内容の話をコミュニティのメンバーより聞かされたから。
そして、この森が、徐々にその支配領域を人が住む地域にまで広げつつある事が、かつてとある世界で王として過ごし、この世界でもまたコミュニティのリーダーとしての彼の無辜の民を護ると言う矜持が、危険な森をそのままに捨て置く事が出来なかったから、ここに訪れたのだが……。
さて、ここからどうするか。
いくら、人を誘い込み、二度と出て来られなくする森だとは言え、簡単に燃やして仕舞う訳には行かない。それならば空中から目視の確認を行い、怪しい場所がないか調べるしかないか。
短く、そう決断を行い――――
一瞬、リューヴェルトの瞳が何かの影を捕らえた。
これは……。
「契約書類?」
自らに向かって、ゆっくりと落ちて来る見慣れた羊皮紙を掴み取るリューヴェルト。
その様子は、今まで彼が参加して来たギフトゲームとは勝手が違う。
その内容とは……。
ゲーム名 森を元の姿に戻せ。
場所 死の森と呼ばれている森。
主催者 李伯陽
勝利条件 森に棲む生命体を出来るだけ殺す事なく、陰の気に包まれた森を通常の理が支配する元通りの森へと戻せ。
森を元の姿に戻す?
独り言のように小さく呟き、視線をギアスロールから周囲。自らを取り巻く全景へと移すリューヴェルト。
ここは……。
周囲は、春の陽光に包まれた長閑な風景。
リューヴェルトの滞空している場所から先に視線を送ると、其処には鳶が高く飛ぶと言う、当たり前の日常が支配する世界。
しかし……。
しかし、その鳶が遠く響かせる高い鳴き声が、今のリューヴェルトには冥界からの使者のような、奇妙な違和感を抱かせていたのだが……。
但し、それも一瞬の事。
ここに彼がやって来た目的は、死の森と呼ばれる森の調査。
そして、もしも叶うのならばその森を昔の……。五年前まで、人々と共存していた頃の姿に戻す事。
つまり、このギフトゲームに参加しようと、しまいとに関わらず、自らの次の行動に違いが有る訳では無い。
そう決意した瞬間、再び、空中に現れる何か。
その、空中に突如現れた筆を掴み、一気に署名を行うリューヴェルト。
そして、次の瞬間、更に北。眼下に広がる森の奥に向かって移動を開始するリューヴェルトで有った。
☆★☆★☆
孤独だった。
その孤独故に、彼女にはぬぐい難い哀しみ、と言う色が着いて居た。
そう。確かに彼女には、その存在を。その姿を。その
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