Episode2 穏やかな朝
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上で上半身を起こした。受け取ったスープは匂いは確実にみそ汁のそれなのだが、色が何故か真緑とカオスだ。
「飲んだらほっとしますよ?」
というアカリはさっきからフウフウしながら木のスプーンで直接ナベから飲んでいる。
あぁ、俺に器を譲ってくれたんだ…
一気に警戒心がなくなり緑の謎スープを口に含んだ。
「なるほど、確かに美味しいな」
「ですよね、えへへっ!」
まごう事なきみそ汁だった。おそらく、ソロでいる間に見つけたんだろう。いろいろ込み上げてくるものをみそ汁とともに一気に飲み下した。
「ごちそうさま」
「はい、ごちそうさまでしたっ!」
「さてと」
アカリがあっちを向いて片付けをしているうちに装備を冒険用に変更する。こちらを振り向いたアカリが目を見開いた。
「マジックですかっ!」
「いや、違うよ。そっか、アカリはずっとそれだからな」
「えへへ、本当はもっと服変えてみたいんですけど…」
歯切れ悪く終わった言葉の先を想像する。
(買いにいけなくて…ってことなんだろうな)
「よし、今から服を買いに行こう!」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん、行きたいだろ?」
「はい!ありがとうございますっ、カイトさん!」
昨日も世話になった装備屋をアカリを連れて訪れて、10分も経たずに店を出た。アカリの決定が非常に早かった。
「ホントに、ホントに似合ってますか?」
「あぁ、似合ってるよ」
「ホントですかっ!やったぁ!」
灰色から白のワンピースに着替えたアカリが店を出たところでクルクル回る。心のそこから嬉しそうに笑うアカリにこちらもつい微笑ましい気持ちになる。
「カイトさんはこれから何かあるんですか?」
「俺はこれから迷宮区だけど…」
「一緒に行きますっ!」
「…だよなぁ。ま、いっか」
気分が浮ついていたせいか、非常に楽観的な思考が働いた。俺もアカリもソロでだって迷宮区をうろつけるのだから大丈夫だろうと思った。…結果として個の楽観は間違いだったようだ。
「…謝るつもりにでもなったのか?」
迷宮区の入り口にはしたり顔のハズキが待ち受けていたのだ。
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