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鋼殻のレギオス IFの物語
八話
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「流石です、レイフォンさん」
「クラリーベル様がいるため、普段よりは抑えているとはいえなかなか。これだけの連携を避けきるとは実にいいですね」
「あの、感心してないでやめてほしいんですけど……」

 明日に迫った出立の日。クラリーベルには告げようと思い話したのが運のつき。どこで聞いていたらしいサヴァリスが現れ、今に至る

「いえいえ。明日には行くというのですから存分に殺しあ……手合わせをしておきませんと。出来れば避けるだけでなく、全力で来てもらいたいですよ」
「ええ、まったくです」
「……遠慮させてもらいます」

 避けるのに全力です
 相変わらず過ぎる二人に呆れる。リーリンに告げた時と比較するとその差はなんなのだろうか
 明日には出ていくからだろうか。今日の二人はいつにもまして激しく、既にある程度の時間戦っているにもかかわらず隙がろくになく、距離を取るにも一苦労した

 だがなぜだか、今日が最後だと思うといつも程のツラさがないのが不思議だ
 ……本気で出ていく理由の大半が、サヴァリスから逃げるためじゃなかろうかと一瞬、自分で自分を疑ってしまう
 そして今、二人とレイフォンの間には十分なだけの距離がやっとあいている。この機会を逃すつもりはない
 告げることは告げたのだ。さっさと逃げるのが今出来る最善策
 三十六計何とやら

「では、僕はこれで」

 保ったままだった剛剣を地面にたたきつけ土煙を巻き起こす
 それで姿が隠れると同時、疾影と千人衝を同時に展開。本体は路地に入って殺剄を使って走りだし、囮が一瞬でやられたのを感じながら逃げ出していった





















「あ〜あ。結局無駄になっちゃったかぁ」

 王宮の庭園。先日、正式に自分の影武者となったカナリスに今までサボって積まれまくっていた政務を任し、彼女が執務室で缶詰状態であるのをいいことにお気に入りのここでアルシェイラはベンチに横になっていた 
 そうして呟かれた言葉は非常につまらなそうなもの
 何せ珍しく彼女自身が動き、自発的に開こうとしていた大会がおしゃかになったのだ
 予定道理ならば二か月後には天剣授受者決定戦が開かれ、力を隠そうが隠さまいがお構いなしで優勝するだろうレイフォンを迎え入れる予定だったのに、彼の出立によってそれが意味をなさなくなったのだ

 出来るならもっと早く知りたかったのだが、この前まではカナリスの件で動き、それが終わってからは自発的に動いていたせいでデルボネに教えてもらうのが遅くなり、知ったのは昨日
 デルボネはもっと早くから知っていたらしいが、進んで教えてくれるようなことはしなかった
 聞くところによると「それもいい人生経験」らしい。早すぎ
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