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番外編
青騎士伝説 後編
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ードスキル無しの投擲なのか!? しかも、軌道が一定じゃないし、ソードスキルでの軌道でもない、……すべて、自分で計算した軌道なのか!? くっ、雨のせいでブーメランが見えない!)

 彼が苦戦しているのは、その「ソードスキル無し」の利点を最大限に生かした、隠密性と意外性、そして連撃を重視した投擲の波状攻撃。大小さまざまなブーメランはそれぞれが違う軌道を描いて絶え間なく飛来し続ける。軌道が異なり、彼の位置からではその頂点たる射手の位置が判然としない。数発はなった《投剣》も、当たった手ごたえはない。

 (雨を無効化しているのか……!? 天候が仇となったか!)

 だが、手も足も出ないわけではない。

 (くっ、《索敵》、で……っ!?)

 発動させる、《索敵》スキル。
 視界の端に相手の位置を示す光点が浮かび上がるその瞬間、まとめて放つ《投剣》の連撃。

 しかし。 

 「っ!?」

 次の瞬間に、凄まじい圧力が目の前から突進したのを辛うじて感知し、あわててそれを回避する。ファーだ。十分にその曲線を描く飛刃のテリトリー内であるにも関わらず、正気とは思えない形相で『青騎士』は彼を狙い続ける。周囲を完全に無視して一直線に彼だけを狙うその様は、もしかしたらもう彼以外見えていないのかもしれない。普段ならそれは冷静さを欠いた好機だが、今だけはそう言い切れない。

 (こちらの攻撃も、喰らってはいけない……!)

 如何に彼がHPを全快に保っているとはいえ、両手槍の重突進技を軽装備防具でまともに受ければ相当量のHPを削られてしまう。さらに『青騎士』は相手を磔にする効果を持つソードスキル、《タンラウンド・クルシファイ》を好んで使う。それだけは、喰らうわけにはいけない。

 懸念は、まだある。

 (っ、後ろの予備三人も、ですか!)

 《索敵》で示すレーダーは、後ろの三人がもう一人の闖入者と戦闘状態にあることを示していた。三人とも自分には劣るものの中層エリア程度の面々相手なら圧倒できるだけの腕前を持つメンバーだ。『攻略組』でもない限りは、任せても平気だろう。幸い、消えた光点は見られない。なんとか拮抗状態を保たれている、といったところか。

 (くっ……!)

 一瞬の、逡巡。

 後ろの見知らぬ一人は予備の戦闘員三人に任せるとしても、それでも自分はこの二人を同時に相手にして、勝利しなくては……速やかに殺さなくてはいけない。それは、《投剣》、あるいは《短剣》スキルでは圧倒的に威力が足りない。

 ならば。

 (しかたありません、使いましょう!)

 判断してからの動きは、速かった。鋭く動いた右手が、それまでの腰の短剣から離れてストレージを一瞬で操作し、背中に……そこに現れた、巨大な半月状の物体の、そ
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