暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
番外編
青騎士伝説 後編
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を生み出す武器の設計を考える時間であり、机上の計算に頭を悩ます時間であり、それを実際に訓練場で試す時間であったのだろう。

 彼女は今、その成果をここで十分に発揮している。
 それは、生半可な覚悟では二カ月そこそこで身につく技術ではあるまい。

 と、そこまで考えたところで思考を打ち切り、今の現状に目をやる。

 (う〜ん、選んだ武器の重さからして、囚われてた三人もレベルはそこそこ、か。レミの超遠距離狙撃であんなにHP削られるような後ろの雑魚二人は、任せて大丈夫そうだね〜、となると……)

 冷静に分析、メッセージを打ってレミにこちらの援護は不要と告げる。
 向こうの相手はあの「PoH」本人ではなかった。ならば、自分は手出しする理由はない。

 「ぅんじゃあ、お嬢さん方。吹き飛んだ二人の相手をお願いするよ〜?」

 打ち込んで振りかえると、そこには各々武器を構えた、それなりのレベルに見える男たちが、そこそこに血走った眼でこちらを睨んでいた。先ほど馬で脇をすり抜けた(馬はもう勝手に主街区へと帰っていた)、恐らくは戦闘員らしき三人。どうやら、やる気らしい。

 愚かなことに、この自分を相手に。
 たった三人で。

 思わず、口に笑顔が浮かんでしまう。

 「て、てめえ、なにがおかしい!?」「アァン!?」「なめんなよっ!?」

 囀る三人を眺め、舌なめずりをする。
 久しぶりの、戦場の……いや、地獄の空気が、血を騒がす。

 あの最悪の討伐戦こそ彼は参加していないが、それを超えるほどの、知る人ぞ知る死闘を経た彼にとって、その地獄は実に居心地のいい場所だった。刈り取るべき標的ではないが、それでも挑んでくるというのなら是非もない。また、レミの頼みでもあるのならば、断る理由もない。

 もっとも。

 「たった三人では、何秒持つだろうかね〜?」

 それも、かつて《電撃戦》を謳われた男にとっては、ただの数秒の思考に過ぎなかったが。





 「ちぃっ!!?」

 時間を同じくして飛来した複数の飛刃に、「POH」の名を騙る彼は唇を噛んだ。

 可能性としては考えていなかったわけではない。『青騎士』がファーであるということを知っていれば、もちろん彼のかつての仲間が援軍として現れる状況は想定してしかるべきだった。しかし。

 (このタイミング、で、か!)

 SAOには数少ない、遠距離攻撃を専門とするアタッカー、レミ。投擲武器にしてはそれなりの攻撃力を持ち、そしてなによりその投擲軌道が曲線を描くという特性を持つ独特の武器、ブーメランの使い手。だが、それだけならば、彼が恐れるほどの相手ではない。ない、はずだった。

 はずだった、のに。

 (っ、ソードスキルの光が無い……ソ
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