番外編
青騎士伝説 後編
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って、横薙ぎに吹き飛ばされた。
◆
その光は、まるでハンマーで殴りつけた様に大きく男を跳ね飛ばした。
十メートル以上も吹き飛んで転がった男は突然の出来事に目を見開いて、泥まみれで腰を抜かす。
「な、なんだっ!?」「ど、どこからっ」「だ、誰がっ、」
戦闘員の三人が慌てて周囲に《索敵》を広げ、
「ぎゃんっっ!!!?」
た、時にはもう後ろ、檻の脇のもう一方に控えたもう一人の技術者が全く同じに跳ね飛ばされていた。射た相手を見ることも無く吹き飛んだ男は哀れにも後ろに予備として設置されていた罠にかかり、腕を挟みこまれて悲鳴を上げる。
「なんだ、なにが起きたんだっ!!!」
「どこからだ、俺の《索敵》なら三十メートル先は見えるんだぞ!?」
「いたっ! ……な、なんだ、は、速い、うわあああっ!!?」
光を一瞥すらせずに戦い続けていた『青騎士』と『POH』の横を、褐色の影が横切った。騎馬だ。主街区で借り受けられる茶色い毛の馬が、人を乗せて疾走しているのだ。視界を晦ます豪雨の中の馬上の影は、大きな、
「伏せなっ、御嬢ちゃん達ぃ!!!」
巨大な戦斧を携えた騎兵は罠地帯を大きく跳躍して一瞬で通り抜け、慌てて迎撃しようとした戦闘員三人さえも素通りして体を引き絞り、
「ひっ!!?」「きゃっ!!!」「ひゃあっ!!!」
少女たちを捕えていた檻を力強く薙ぎ払った。
◆
「さあ、こいつらを使いな!」
騎馬の速度と体の捻りを余さず乗せた強烈な緑色に光る横薙ぎの斧スキルの一撃が、決して脆くない檻の鉄柵を纏めて斬りとばして罠を破壊した。と同時に、バランスを崩した男が派手に落馬し、やたらと多くのアイテムをばらまいた。慌てて伏せた少女たちは驚きながらも、駆けつけた男のばらまいた剣や槍を拾って武装する。
「て、てめえ、何を、ぐあっ!?」
慌てて斬りかかろうとした戦闘兵が、死角から飛来した飛刃を喰らって仰け反る。その神業に、ウッドロンは内心でこっそり舌を巻いた。確かに彼はレミの書いた依頼書……いや、設計図と寸分違わぬ出来栄えのブーメランをいくつも作った。だがたとえそうだったとしても、それを扱うのはレミ自身だ。ソードスキルに頼らないのであれば、その強さ、あるいは距離や角度の見極めはすべて自前で行う必要がある。
剣や槍、斧といったただ振り回すだけでも一応は武器として機能するものとは違う、遥かに現実味の薄いブーメランはそれだけで非常に使い手を選ぶ武器だ。それを。
(この距離で、しかもこれで3発。しかも全部死角を突いて、か……)
彼女がここ数日、無表情ながらもいつも眠そうにしていたことを、ウッドロンは知っていた。それは自分の思い描く軌道
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