暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
番外編
青騎士伝説 後編
[5/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
った。
 彼らを見張るように陣取った犯罪者たちもまた、同様にその戦闘の行く末を見ていたのだ。

 「お、おい、なんだよアレ……」「信じらんねえ、あのリーダーと何十分戦ってんだよ……」」「HP吸収は発動してないんだろ……? な、なんでまだ生きてんだよ……」「ほ、ホントに亡霊なんじゃないのかよ……」「こ、こっち来ないよな……」

 周囲に潜伏した人数は、全部で五人。

 犯罪者ギルド、《墓荒しの蝙蝠》。その実体は、「オレンジ御用達の技術者集団」なのだ。対人戦闘に長けたのは、リーダーである『POH』を名乗る彼と他三人、残りの二人はそれぞれが《鍛冶》や《細工師》、《裁縫》といった生産職をオレンジに供給するのが役目。無数の罠や不自然な街灯といった特殊極まりないアイテムも彼らの作品であり、……その分戦闘に関しては免疫は薄い。

 最低限の嗜みとしてあげられた《索敵》スキルで捕える『青騎士』は、まるで機械仕掛けの人形のように斬られても刺されても全く動じることなく動き、黒い影を追い続けていた。無数のナイフを刺され、砕けんばかりに傷ついた鎧を纏い、ところどころに穴の空いたマントを翻すその姿は、『青の亡霊騎士』などという呼び名では生ぬるいほど。

 そう、それはまるで。

 「し、死神だ……」

 誰からともなくそう呟く。
 本来は自分達に褒め言葉として贈られるべき称号が、今はまさしく恐怖の象徴だった。

 しかし、それでも戦局は揺るがない。

 戦っているリーダーのストレージの投げナイフはまだあの亡霊一人葬るには十分な量のそれを保っているし、たとえ万一リーダーが負けた、或いは『青騎士』が少女たちを助けにこちらへ向かってきたとしても、二人の戦場とこちらの檻の間にはしっかりとトラップが仕掛けられており、あの重装甲ではどうあがいても越えられはしない。

 罠に捕えられている間に残る戦闘員二人がかりで《投剣》で牽制しつつ逃げれば、『結晶無効化空間』である丘を降りるくらいの時間は十分に稼げる。耐久度の修繕の為に檻の横に控えた男のうち一人が、大きく息をつく。

 大丈夫だ。ここは、安全。自分は、安全圏で、人をいたぶるのだ。

 「あ、ああ、あおきしさん、あおきしさん、っっ……」「ううっ……」「ああぁ……」

 横の捕えられた少女達の泣きじゃくる声が、心地よく耳朶に響く。

 このSAOではハラスメントコードや転移結晶、様々な救済処置の為にこうやって相手に絶望を与えるのは非常に難しい。しかしこの《罠設置》スキルの派生技で作りだしたこの檻は、「閉じ込める」という最も原始的な恐怖を他プレイヤーに与えることができる。

 背徳的な快感に醜い微笑を浮かべた、その男の横顔が。

 「―――ッッ!!?」

 音もなく飛来した刃によ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ