七話
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にも及び糸を届かせることが可能な彼の鋼糸において、視界に収まるというのは既に戦闘が始まっているということ
とうに復元されている天剣から伸びた鋼糸が幾多にも敵に絡み合い、動きを阻害し、その身を削り肉を削ぎ、相手の体液を撒き散らしながらその身を小さくしていく
だが、それでもなお地を這いながらこちらに向かってくる様は流石と言うよりほかない
『見た所、特におかしな器官は無いようですね』
「三期と言う話ではなかったか?」
『どうやら、硬い表皮に高い再生能力。そのように特化したようです。その分重量が増し、地を這う様になったのでしょう。それ以上の速さで切り刻んでいますから分かりづらいかもしれませんが、断面が一瞬盛りあがろうとしていますよ』
「ああ、そういうことか」
思ったよりも敵の損傷が少ないことに納得がいき、言葉をこぼす
『ですが、中身はそれほど硬くないようですね。では、よい戦場を』
その言葉を最後に、デルボネからの言葉が止まる
よい戦場か……
リンテンスはその言葉を聞き、かつて言われた言葉を思い出す
“いずれ見せてあげるわ。自分なんていなきゃよかったと思う戦場を”
自分の力に等しくないからと、生まれた都市を捨てた
必死に磨き上げられた鋼糸の技が錆びるのを虚しく思い、自ら汚染獣に戦いを挑む狂った都市の噂を聞き訪れた際の言葉
十ほどにしか見えぬ少女に何一つ出来ぬまま屈服させられ、地に伏せられて告げられた宣告
生まれた都市から考えれば何億倍もましな戦場が有った
自らが全力を出せる武器に、それに見合うだろう相手も用意された
だが、未だそんな戦場には巡り合ってなどいない
数ヶ月前の戦いは、全力を尽くすだけのかつてないほどのものでは有ったが、それでも満足などしていなく、後悔には遠い
「見せてもらわねば、納得などしないぞ」
小さく呟くと同時、すぐ傍まで近づいてきた相手から避けるため地を蹴り、宙に舞う
そのまま、幾多にも張り巡らされた自身の糸の上に乗り、下で蠢く敵を見ながら鋼糸の陣を織る
かつてのものよりより鋭く、より硬く
密度をいつも異常に高めた円錐の槍が降り下ろされる
「極の塵と果てろ」
???躁弦曲・跳ね虫
肉が盛り上がり、やや硬くなり始めた表面部分を抉ってそのまま体を貫き、虫の標本の様に地に縫い止める寸前、放射状に紐ほどかれる
例え外が硬くとも、中が柔らかいのならばそこを攻めればいい
凄まじい勢いで広がる鋼糸によって内臓をペースト状に刻まれ、ビクンビクンとのたうち回る
その足掻きが暫く続き、中身を残らず刻まれたのか一際大きく跳ね、抉られた各所からドロドロとした中身を垂れ流しながら地に
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