七話
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フォンが顔に浮かべていた疑問の中身を知り苦笑して思い出す
((最初は、レイフォンが何かしたのかと思ったけど))
リーリンが街中でレイフォンを見かけたと思えば、そのすぐ傍にいたのがクラリーベルだ
剣帯に手をかけながら嬉々としてレイフォンに話しかけるクラリーベルに、凄く困った顔をしながら対応するレイフォン
見る限り荒事にならなさそうだと思い、何かあったのかと近づいて話してみたら知り合いで、何が有ったのか聞こうと思いちょうどよかったので昼食に誘ったのだ
その後の話で特に何かあったわけでもなく、ロンスマイアと聞いて驚いたが、今思えばレイフォンは展開についていけず理解できていなかったのか
ちなみに、自分の養父はロンスマイアの名を聞いて何か思う所があるのか、時折こちらを見ながらいつも以上に寡黙だ
「あの、クラリーベル様は此処にいていいんですか? 家の方に連絡とか……」
「特に問題は有りません。それに、いつも食べているのとはまた別で美味しく、こんな賑やかなのは初めてで楽しいです」
にこやかに返されて反応に困りながらも、その言葉が嬉しいのかほにゃっとした笑顔をするレイフォン。何せ、いつものことではあるが、この料理はリーリンだけでなく自分も一緒に作ったものなのだ
そんな二人を見ながらリーリンは嬉しく思う
レイフォンは日常的なこととなるとやや優柔不断で押しに弱かったりする優しい性格だが、こと武芸の事となると冷たく傲慢とも思えることがあり、幾つもの大会で優勝していることなどもあって院の外に友人と言える相手がいない
その事が少しではあるが心配ごとで有ったリーリンとしては、今回の事は嬉しく思えるのだ
そんな三人と共に、いつも以上に賑やかに思える食事が孤児院の中では進んで行った
「断る。そう告げておけ」
短く答え、手に持つ紙片を宙に離す
リンテンスの手から離れたそれは、物理法則を無視したまま平行移動し、ゴミ箱の上で微塵に刻まれて下に落ちる
その光景にたじろいだ届け人に不機嫌そうに一瞥をやる。いや、そちらを見たのではない。ただ相手がたじろいだ拍子に音が鳴り、そちらの方に僅かに意識を向けただけで男に視点を合わせてすらいない
だが、一瞬体を震わせて相手は慌てて出て行った
男が慌てて出ていくのにきしむ床、その先の階段での衝突音に落下音。一瞬空いてからのけたたましい笑い声が開けたままのドアから聞こえてくる
「うるさい」
呟かれた言葉に従うようにひとりでにドアが動き出し????伸びてきた手に止められる
「まったく、どうやったら一週間でこんなに汚せるのかし
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