ターン23 吸血美女と5000年の負の歴史
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な乱暴な投げ方するなんてマナー違反だと思うけど、まあカードそのものが大根すら真っ二つにできるとか上手く投げれば鉄板に突き刺さるとか言われるぐらい頑丈だから石の床程度じゃ傷がついたりはしないだろう。
「ふ……すまない、サイバー・エンド!」
そう言い放ってカイザーが最後にとった行動は、僕らの度肝を抜いた。サイバー・エンドを床から引っこ抜き、カミューラにめがけて思いっきり投げつけたのだ。完全に油断していたカミューラはそれ、俗に言うカード手裏剣を避けきることができずにその白い手に………いや、その手に持っていたあるカードに突き刺さって、そのまま2枚のカードはどこかへ吹っ飛んで消えていった。か、カイザー?
「清明!」
「は、はい!」
こういうのを鬼気迫る表情、というのだろうか。いきなり話の矛先がこっちに向いたので、思わず背筋が伸びる。
「幻魔の扉は俺が消し去った………お前の腕ならば、きっとあの女にも勝てるはずだ。後は……頼んだ、ぞ…………」
そう言ったところでついに限界が来たのか、ゆっくりと倒れていくカイザー。その体が床にぶつかる前に青い炎に呑みこまれ、カミューラの持っていた人形の姿がデフォルメされたカイザーのものになる。クロノス先生の時と同じだ、魂が人形に吸い込まれたんだ。そしてそれを見た瞬間、僕の中で何かが弾けた。
「ちっ、全く最後まで生意気ね!」
カミューラがそんなことを言った気がしたけど、そんなもの耳に入ってこない。とりあえず今考えることはただ一つ。
「おい、カミューラ」
「あき……ら?」
声のトーンから何かを感じ取ったのか、夢想がこっちの方を心配そうに伺ってくる。そのきれいな目が驚愕に見開かれたところを見ると、やっぱり彼女にも見えてるんだろう。今僕の体を静かに包んでる、ダークネス戦の時にも見たあの中二的な紫の炎のことが。また心配、かけちゃうな。こんなもん見たらだれだって驚くだろうし。ごめん、と心の中で一声呟いて、さっきまでカイザーが立っていたところまで歩く。あれからこの炎について考えてみたけど、どうもこれが出ると僕は感情のコントロールができなくなるらしい。おかしいぐらいにブチ切れたり、不自然なぐらい相手を憎く思ったり。ちなみに今はその両方。でも、多分これがなくても本気で怒ってただろう。
「あら、坊や。あなた、並みの人間じゃなさそうね。七星門の鍵も持ってるみたいだし、少しぐらいなら遊んであげてもいいわよ?」
「幻魔の扉、拾ってくれば?どうせそれがなきゃ僕には勝てないよ」
普段の僕なら絶対にしないであろう挑発。こーゆーのはむしろユーノが得意とするところなんだけどなあ。でもまあ、今回はキッチリ効果があったらしい。
「言ったわね?別にかまわないわ、あなたごときは幻魔の扉がな
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