ターン23 吸血美女と5000年の負の歴史
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この声、夢想にもカミューラにも聞こえてないらしい。ついに幻聴まで聞こえるようになったんだろうかってHAHAHAHAHA、ちょっとそれシャレにならないな。
『……少しは緊張感を持ってくれ。私がシリアスやってるのに、肝心要の貴方がそんな調子では私の立つ瀬がない』
「緊張感がないんじゃなくて色々吹っ切れただけ。だいたい、ここに入学してから僕がどんだけ濃い人生送ってると思ってんのさ」
自分でもちょっと驚きだけど、正体不明の声の主との会話はなんだか心が落ち着いた。まるで、ずっと前からの知り合いと駄弁ってる時のような。なんでだろう。
『それは後で話すとして、まずはあの吸血鬼を倒す。改めて聞こう。遊野清明、貴方は私の力を使いたいと願うか?』
「………君の力を使えば、この状況からでも勝てるってこと?」
『勝つ!』
声の主が誰かは、まだわからない。でも、なんとなくだけど、この声は信用してもいい気がした。だから、僕もきっぱりと答えることにする。
「じゃあ、よろしく頼むよ!僕は勝つ、勝ってあの2人を元に戻す!」
あと夢想と2人でいられる時間のために、って言うのは心の中だけに留めておいた。
『ならば私の力を使うといい。デッキトップに私はいる』
どれどれとデッキを見てみると、なんかデッキトップの1枚が明らかにヤバい感じの紫色のオーラに満ち溢れていた。
「あのー。これ、使っても大丈夫なの?」
『すまない。正直その邪気は、私が消そうとして消せるものではないのだ。心の闇に囚われなければたぶん大丈夫なはずだが………私も、貴方ならなんとかしてくれると信じているから私のカードを託している。信用しているぞ、遊野清明』
うーん、そんなふうに言われたら断れないじゃないか。最初からそんなつもりもなかったけど。
「それじゃあ最後の1枚いくよっ!ドローッ!!」
引いた瞬間、とんでもない量の負の感情が流れ込んできた。それと同時に、僕の体全体がこれまでも何回か見た例の紫のオーラに包まれる。これまでは体の一部にしか見えなかったから、全身すっぽりってのは初めてだ。『な、なんとか耐えきってくれ!』という声がぼんやり聞こえた気がしたけど、これは……ちょっと、キツイ……か……も…………。
「うわあああああああああっ!!!!!!」
誰かの叫び声が聞こえてくる。いったい誰だろう、と思ったらどうも無意識のうちに自分で叫んでたらしい。足にうまく力を入れられなくなり、後ろの方に倒れていく。だけど地面に体が叩きつけられる前に、誰かが優しい手つきで背中を支えてくれた。ほんの少し頭を動かすと、心配そうに僕の顔を覗き込む夢想の顔が見えた。
「ぼ……僕、は………」
「もういいの、清明。私があなたを助けてあげるから、だって」
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