暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX 〜水と氷の交響曲〜
ターン23 吸血美女と5000年の負の歴史
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鍵を持ってない。まさかあの人が負けるとは思わないけど、万が一のことがあったら!頼む、間に合ってくれ!





 よろめく体を支えてもらいながらなんとかたどり着いた時には、もうデュエルは終わりかかっていた。あっちの女の人が、今回の闇のデュエリストなんだろう。そして僕が見ている前で、クロノス先生の古代の機械巨人をアンデットサポートの効果で上回った攻撃力3200の大型モンスター、ヴァンパイアジェネシスが姿を見せた。伏せカードもないうえに、墓地発動のカードもない今の先生のライフじゃ、あのモンスター三体の攻撃は耐え切れない!でも先生は意外に落ち着いた顔で自分の場と相手の場を見渡し、真剣な顔つきでこちらの方を向いた。

「諸君、よく見ておくのーネ。そして約束するのーネ。例え闇のデュエルに敗れても、闇は光を凌駕できない。そう信じて、決して心を折らぬこと。ワタクシと約束してください」

 そう言うと、自らバトルフェイズを催促した。クロノス、先生………!

「ヴァンパイアジェネシスで古代の機械巨人を攻撃、ヘルビシャス・ブラッド!」

 ヴァンパイアジェネシス 攻3200→古代の機械巨人 攻3000(破壊)
 クロノス LP1700→1500

「さらに私の場のモンスターたちで攻撃!」

 身を守るためのカードを持ち合わせていないクロノス先生が狼男の爪に引き裂かれ、蝙蝠にまとわりつかれてさらにダメージを受けていく。闇のデュエルを体感した僕だからわかるけど、闇のデュエルのダメージは質で来るより数で来られる方がキツイ。わかりやすく例を挙げると、僕とダークネスのデュエルの際に受けた黒炎弾のダメージは2400。この数値はグリズリーマザーがレッドアイズに戦闘破壊された時の1000ダメージの2倍以上だけど、実感できる痛み自体にはそこまで差がなかった。つまり、闇のデュエルをするのならいっぺんに4000以上のダメージを与えてワンキルするよりも100ポイントずつ細かくバーンダメージを蓄積させる方がはるかに途中で相手がデュエル続行不可になる確率は高いのだ。そしてクロノス先生は、わずか1ターンの間に三回も戦闘ダメージを受けた。あまりの痛みに気を失っていても何一つおかしくない。でも、クロノス先生は違ったらしい。ライフが0になって倒れる寸前、はっきりとこちらの方を見て一言、言った。

「ボーイ!光のデュエルを……」

 クロノス LP1500→100→0

 そして相手の人、もといヴァンパイア・カミューラはクロノス先生が鍵を持っていないことに気付くと、そのことについて嘲りながら湖に浮かんだ城と一緒に霧の中に消えていった。僕らはそれを、ただ見つめることしかできなかった。





 クロノス先生がカミューラの手によって人形になった次の日、夢想
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