第八十六話
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たけれど、この夢に出てくる彼らは間違いなくニンジャだった。
ニンジャの彼はやっぱり何かに怯えていた。自分の存在そのものを戸惑いながらも、自分の環境に言い訳をして結局やってはいけない何かを自分でしている。…いつかの誰かと同じだと心のどこかで認める事を全力で拒んで。
それでも、彼はうまく生きていた。少ないながらも友達も出来たようだ。しかし、それがまた自己嫌悪に拍車をかけているようでもあった。
何かの試験の最終日。彼の街を巨大な怪物が襲っている。それは大きな蛇だったり、巨大なサソリだったり巨大な蟻だった。
人々は逃げ惑い、しかしそれでも幾人も死んでいく。
この後はどうなったのだろう。見られたくないのか覚えていないのか、急に風景が移り変わった。
それは月が綺麗な夜だった。まだ彼の年齢は少年の域を出ていない。しかし、彼には何か予感が有ったのだ。
もうこれ以上ここには居られないのだと。タイムリミットが迫っていた。
その全てを受け入れ、抵抗も無いままに彼はまた暗闇へと消えていった。
…
…
…
バサリと布団を跳ね除ける。
「また…ね。でもますます分からない。今日の彼は前の夢の彼とも違った。…はぁ、考えてもしょうがないわ」
きっとまだあの夢は続く。別に見ようとしている訳じゃないのだけれど、盗み見ているようで体裁が悪い。
「なによ、チャンピオンが悪いんじゃない。わたしの所為じゃないわ」
と調子を切り替えたわたしは背伸びで眠気を飛ばすと呼び鈴を鳴らし、リズを呼び着替えさせてもらうとチャンピオンが作っているであろうスイーツにつられるように部屋をでた。
◇
単独行動スキルを持っているとは言え、イリヤは俺を一人で索敵に出すことは無いし、逆に言えば自由行動を許すつもりも無いようだ。
このアインツベルンの居城の中なら問題なく動き回れるのだが、それ以外となると難しい。彼女の言葉に命令を混ぜられて行くなと言われれば外出する事は難しいのだ。
その為にどういう状況になっているのか全く掴めていないのが不安でならない。
今日は日が落ちた頃に冬木市に入り、敵を探してふらついている。
時刻は会社勤めの人たちも残業でもなければ夕ご飯を済まし後は就寝を待つ時間帯。小学生などはとっくに寝ている頃だろう。
そんな時刻を俺達は今、外人墓地の横を通り冬木教会のある高台の方へと歩いている。
前方から下って来るのは高校生ほど青年と紅い服が印象的な少女。後は黄色い雨具を被ったサーヴァントが一騎だ。
「…イリヤ?」
そのサーヴァントを遠くから見てイリヤは凄く冷徹な表情を浮かべていた。あのサーヴァントとイリヤには何か因縁が有るのだろうか。…いや、セイバーは前回の聖杯戦争で
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