第八章 望郷の小夜曲
第七話 捜索隊
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な寝床を作って寝泊まりしているようだ。他にも市道の脇に開いていた露天もそこかしこに開いており、ここも人で溢れていた。
大勢の人が亡くなった場所で、平然と寝泊りしている人の図太さに呆れながら辺りを見渡していると、後ろから非難がましい声がかかった。
「何してるんですか。早く準備しないとここでも寝る場所がなくなってしまいますよ。寝るところはわたしたちが作っておきますから、ミス・ヴァリエールたちはそこらへんに落ちているレンガを拾ってきてください」
「はいはい」
「わかったわよ」
背中に背負ったバッグの中から布を取り出したシエスタが、ロングビルと共にテキパキとテントを立てながらルイズたちに指示する。それにキュルケとルイズが返事をするのも億劫だという様子で手を振りながら答えると、荷物を置きそこかしこに落ちているレンガを拾い出す。
メイドが貴族に命令する。いくらあまり細かなところに拘らないキュルケであっても、普段ならば何か言っていただろうが、疲労と何時もと違いすぎる周りの雰囲気により、何も言わずシエスタの指示にしたがっていた。
レンガは数え切れないほど地面に落ちているため、集めるのには苦労することはなく。ルイズとキュルケは仲良く無言で(ただ疲れていただけだが)レンガを拾い集め始めた。
シエスタはロングビルと協力してテントをあっという間に立てると、今度はルイズたちが集めたレンガで即席のかまどを組み上げ始めた。それもあっという間に組み上げると、バッグの中から大鍋を取り出し何やら料理を始めた。
「シエスタも疲れてるでしょ。今日のところは露天で食事を取りましょう」
「いえ心配しないでも大丈夫です。まだまだ元気一杯ですから」
ルイズが地面に突っ伏しながら料理を作り始めるシエスタを心配するが、シエスタは料理を作りながら顔だけ振り向きニッコリと笑い返した。その顔には疲労の色が殆んど見えず、強がりではないと判断したルイズが、笑顔を浮かべるシエスタに向け呆れた声を漏らした。
「どんだけ体力があるのよ」
「田舎育ちですからね。体力には自信がありますよ」
腕まくりをして、働き者の女性らしい健康的な肌を見せつけ全く目立たない力こぶを見せつけるシエスタに、ルイズは小さく笑ってみせる。
「ふふ、そう。なら遠慮なく甘えるわね。わたしはもうダメ。あ〜疲れた」
「ああ、ダメですよ寝転がっちゃ。ほら、これを下に敷いてください。あ、ちょっと待ってくださいミス・ツェルプストーも寝転がらないで。そんな格好で寝たら中が丸見えですよ」
疲労のあまりゴロンと地面に寝転がろうとするルイズにバッグから布を手渡すシエスタ。ルイズが受け取った布を乱雑に広げゴロンと転がると同時に、キュルケも布の上に倒れ込むように寝転がった。しかしキュルケはルイズと
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