第八章 望郷の小夜曲
第七話 捜索隊
[7/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ちっぱなしだったからしょうがないですよ。それより、じゃあどうするんですか?」
互いに足をガクガクと震わせながら、互いの額を互いにぐりぐりと捻り込みながら言い合う二人の間に無理矢理入り込んだシエスタが、二人を落ち着かせつつロングビルに振り向く。
「どうするもこうするもないさ。今日のところはここで一泊して捜索は明日からってこと」
背中のリュックを抱え直すと、ロングビルはさっさとその場から立ち去り始めた。それを見たシエスタが、慌ててその後を追いかけ始める。
「ちょ、ちょっと待ってください。ほらほら喧嘩してないで追いかけないと。早くそれを貸してくださいっ、ミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプストーさっさと行きますよ」
「何よ?」
「っちょっと!」
シエスタはルイズとキュルケから背中に背負ったカバンを半ば強制的に取り上げると、駆け足で小さくなるロングビルの後を追いかけ始めた。そのシエスタの背中を、ルイズとキュルケが急いで追いかけ始めたのはいいが、震える足を上手く操ることが出来ず走ることさえままならない。
「ま、待ちなさい! 待ってっ! ま、待って、くだ、さ、い」
「ちょ、ま、し、シエス、シエスタっ! はや、い、早いってっ! 待ちなさいよぉっ!」
市道に溢れんばかりの群集をかき分けロングビルとシエスタを追いかけるルイズとキュルケだったが、どんどんと小さくなっていく二人の背中に声も震えだし、瞳は涙に潤み始める。
喧騒に満ちる道の中、少女二人の悲鳴が、
「「置いてかないでェ〜〜〜っ!!」」
響き渡った。
勢いよく歩き出したロングビルであったが、向かった先は宿などではなかった。これだけ人がいるのだ、宿などは既に全部人で埋まっており泊まることなど出来はしないことを、ロングビルは理解していた。なので、ロングビルが向かった先は宿ではなく、天幕が広げられるだけの空き地であった。
「あ、れ? ここ、って」
何とかはぐれずに付いてこれたルイズが、膝に手を付き息を荒げながら周りを見渡すと、そこかしこに見覚えがあることに気付いた。
「もしかして司令部?」
「ふぅ……はぁ……ふぅ〜……。へぇ、ここって司令部だったの? そんな面影全くないわね」
見覚えがある崩れ落ちた赤レンガの建物を見て、ここが司令部の前庭であることを思い出したルイズだったが、ガリア艦隊の砲撃により見るも無残な姿になった様子に沈欝気な顔になる。その横では、荒い呼吸に合わせ弾む、その大きな胸を片手で押さえながらキュルケが周囲を見渡し呆れた声を上げている。
キュルケが見渡す元司令部の前庭は広く、ルイズたちと同じように宿に止まれなかった人たちが天幕や地面に布を敷いただけの簡単
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ