第八章 望郷の小夜曲
第七話 捜索隊
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更に多くの人がいた。商人、山師、政府の役人、家族を探しに来た人……様々な目的を持った人たちがハルケギニアから一斉に押し寄せたためか、その数は明らかにロサイスの許容範囲を超えており、文字通り歩くこともままならない。
「シロウが生死不明なんて聞いて、あたしがただじっと待っているだけだと思ってたわけ? そんな筈ないじゃない。あんたが復活してシロウを探しに行くって聞いたら、そりゃ付いていくに決まってるでしょ」
「そうそう。それにどっちかっていうと、感謝して欲しいくらいさね。あんたが復活するまで待っててやったんだから」
「はぁ? するわけないでしょ。っていうか何言ってんの? アルビオン行きの船が動き始めたのは昨日からじゃない。行こうと思っても行けたわけ無いでしょ」
「と言うか二人共学園はいいんですか? わたしとミス・ヴァリエールはお休みを頂いたんですが」
暗い色をした分厚いシャツにズボン。そしてその上にコートを羽織ったシエスタが、キュルケと、その隣に立つロングビルを首を傾げながら見る。シエスタの格好はいかにも旅のために動きやすい服ですと言ったものであり、その隣に立つルイズもまた、品質は天と地ほど違うが、同じようにシャツにズボンという動きやすい服装であった。それに比べ、二人の前に立つキュルケとロングビルの格好は、何時もの学園で着ている服にコートを羽織ったもので、見るから慌てて追いかけてきましたといった格好であった。共通したものといえば、それぞれ背中に背負ったバッグ程度で(シエスタが背負っているものだけ他の三人の三倍はあったが)、その中には同じく旅に必要なものが詰め込まれていることぐらいだ。
「「大丈夫だと思う……わよ?」」
シエスタの疑問に、キュルケとロングビルは顔を背けながら答える。
「……何で最後が疑問形なのですか?」
決して目を合わせない二人の様子にシエスタは頬を引きつらせながら呆れ。
その隣に立つルイズは不敵な笑みを浮かべ、腕を組みながら顔を背ける二人にジト目を向けていた。
「……へぇ〜……で、具体的に何をしてきたの?」
「「置き手紙を書いてきた」」
「それで本当に何とかなると思ってる?」
「「……ま、大丈夫でしょ」」
「……仲いいわねあなたたち」
まるで打ち合わせしているかのように声を合わせ、同じセリフを呟く二人に、ルイズの顔にも呆れが浮かぶ。
「あ〜もうっ! 終わったことはいいのよ! それよりもこれからのことよっ! こ、れ、か、ら! こんな中からシロウを探せるの? 何か手がかりはないの?」
ルイズとシエスタの非難の視線を両手を振り散らすと、キュルケは喧騒に溢れかえる周囲を見回す。
ぐるりと見回す視線の先には、今いる船着場から市街地に続く道の端に、所狭しとハルケギニア
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