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剣の丘に花は咲く 
第八章 望郷の小夜曲
第七話 捜索隊
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とだと言っていたが……剣はともかく世界を……ふむ、もしやあの男が使った魔法は、我らの使う魔法とは違うのかもしれんな……四の系統とも……『虚無』とも違う……くくっ……」

 青い美髯を擦りながら、ジョゼフが目を細める。

「ふむ、トリステインの担い手がこのアルビオンに来ていると。使い魔を探しに来たか……余計な者も付いているが、お前なら問題はないだろう。始祖の祈祷書、水のルビー……必ず手に入れろ。知識量ではロマリアに一歩先んじられている、道具も奴らに取られたらたまったものではないからな……あの男と合流する前に―――必ず奪い取れ」

 人形を通じ自分の使い魔に指示したジョゼフは、テーブルの上に手を伸ばす。掴んだのはグラスではなく瓶。瓶を掴み、コルクを親指で引き抜くと口をつけ勢いよく傾ける。喉を鳴らし一気に瓶の中のワインを飲み始める。
 ワインボトルから最後まで口を離さず全てを飲み干し、空になったボトルを音を鳴らしテーブルの上に置く。

「担い手ではなく使い魔の方が意識されるとは…………エミヤ、シロウ…………ふむ」

 ギシリと音を鳴らし椅子に深く座り直したジョゼフは中空をぼんやりと見つると口元を歪め、



「まて、アレ(・・)も持っていけ。どうせ拾い物。しかも壊れているようなものだ。捨て駒ぐらいにはなるだろう」



 瞳を嗜虐に染め上げた。









「や〜と……着いたわね」
「あ〜……酷い目にあった」
「そんなに言うならついてこなかったら良かったのに」
「そうですよ。今からでも遅くないから学園に戻っては如何ですか?」

 アルビオン大陸とハルケギニアを行き来するための船着場。人がごった返し、溢れかえったそこに、四人の少女が新たに加わった。顔には疲労がハッキリと見え、これまでの旅路の過酷さを物語っていた。戦争が終わり、やっと船が行き来を始めたばかりのためか、船に乗ろうとする者は多く、アルビオン大陸に到着するのに、普段の倍は時間が掛かっていた。疲労困憊になりながらも、やっとこさアルビオン大陸に辿り着いた彼女たちは、人と喧騒で溢れた船着場で、互いに顔を合わせ笑い合っている。

 引きつってはいたが。

「へぇ〜ならあんたたちだけでシロウを見つけられるっていうの?」
「ふん、私一人で十分さ。あんた達こそさっさと帰りな」
「シロウはわたしの使い魔よ。……っていうか、シエスタはともかくあんた達は何でついて来てんのよ」
「そうです。さっさと帰りなさい」
「「命令かよ」」

 赤い髪と緑の髪を持つ少女。キュルケとロングビルは黒髪の少女―――シエスタに声を合わせツッコム。
 ハルケギニアの港町ラ・ロシェールも人は多かったが、アルビオン大陸の船着場である港町ロサイスは、それよりも
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