第八章 望郷の小夜曲
第七話 捜索隊
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出す。
男の隣りに来ると、女は肩ごしにルイズたちに振り向きにやりと笑みを浮かべた。
首を曲げた際、フードが巻き込まれ肩にずり落ち、隠された素顔が露わになる。
あちこちで燃える焚き火に照らされた美しい女の額には、微かに光るルーンがあった。
ルイズたちの姿が完全に人ごみに消えると、女はフードを被り直し歩き出す。
「行くわよ」
声を掛けられた男は女の後を追うように歩き出したが、不意に立ち止まると既に見えなくなったルイズたちに向かって顔だけ振り向かせ、じっと何の感情も感じない視線を向けた。
馴染みの情報屋からいくつか情報を手に入れると、ロングビルはテントに戻るため歩いていた。自分の顔を知っている者がいるかもしれないため、フードを深く被っている。
手に入れた情報で士郎が生きているという確信を得たことから足取りは軽く。思ったよりも時間が掛かったことで早く帰ろうと思っていることも加え歩く速度は早い。
フードを深く被っているためか、視界は良いとは言えない。
視界の端に見覚えのあるテントの姿を捕らえたロングビルは、歩く速度を更に早めた瞬間、
「っ、失礼っ」
目の前に同じようにフードを深く被った女が現れた。
何とか避けることは出来たが、女の後ろに影のように付き従っていたフードを被った男にぶつかってしまった。男の左腕にぶつかったロングビルは、小さく頭を下げ謝罪する。フードを被った女と男は、頭を下げるロングビルに構うことなく無言のまま人ごみの中に消えていく。
フードを被った女と男の姿が見えなくなると、ロングビルは面倒事にならずに済んだことに安堵しながらテントに向かって歩き出す。
歩きながら不意に男とぶつかった左腕に手を置いたロングビルは、当たった瞬間のことを思い出すと首を傾げた。
「えらく硬い感触だったね?」
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