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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
橋の上の会敵
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ようなその声と共に、再び闇が揺らいでその奥から人影を吐き出した。
チョコレート色の肌に、後ろで粗野にまとめられた艶やかな黒髪。装備は防御力をまるっきり度外視したようなTシャツにGパン。サイズが合ってないように、苦しげに豊満な胸が大きく揺れる。
素肌で惑わされるが、直感的に分かる。独特な
土妖精
(
ノーム
)
の感じ。
「……………なんで?」
呆然と、そして眼を鋭く細めながらレンが言う。
その前に、コツ、コツ、と音高くブーツを鳴らしながら現れたノームの女性はゆっくりと近付いて行く。ゆらり、とその細い身体から炎のようなオーラが静かに立ち昇る。
心意技の予備動作ではない。心の内側から漏れ出る闘志が過剰光として発現しているのだろう。
近付くその女性に、レンは一言鋭く言った。
「何でここにいるの?テオドラねーちゃん」
ゆらり、とレンの体からも瘴気のごとき漆黒の過剰光が漏れ出でる。カラスの濡れ羽色だった瞳は、血のような真紅に染まっている。
ゆっくりと放たれたその問いに、現れた《柔拳王》テオドラは迷いなく答えた。
「決まってんだろ、レン。お前をここから連れ戻すためだ」
「連れ戻す?どこに?僕はここにいる、どこにも行かない。マイを救い出すまでは、ね」
即座に言い放たれたレンの言葉に、《柔拳王》と呼ばれた女性はくしゃりと顔を歪めた。
それは痛みを堪えているかのようでもあり、どこか判っていた事に落胆したような顔だった。
「いつまでなんだよ?いつになったらマイを救い出せるんだよ!分かってんのか!?お前の身体はもうボロボロなんだよ!!」
悲痛そうに言い切ったテオドラの言葉に、レンはしばしの間顔を伏せた。しかし、再び上を向いた顔には笑顔が張り付いていた。
張り付いて、貼り付いていた。
「
そ
(
・
)
れ
(
・
)
が
(
・
)
?」
「────…………ッ!」
テオドラは息を詰まらせた。
その言葉に込められた、あまりの重さに膝が砕け落ちそうになった。
その様子を見ても、レンの笑みは小揺るぎともしなかった。
無機質に、無感情に笑っている。
透明に、笑っている。
ただ、笑っている。
「そんなボロボロになってまで、マイが助けてもらいたいと思うのか!!」
叫ぶ声に、レンの笑みがギチリと小さく強張る。
「それに、ユウキはずっと心配してたんだぞ!!お前を信じて、何にも、誰にも相談せずにお前が入院してるところに通ってんだ!!!それをお前はどう思ってやがんだぁッ!!!!」
ドオオォォォォオオオオーッッンンン!!!
耳をつんざく轟音と共に、銀の煌きが閃いて橋が両断された。
がらがら、と音を立てて橋が崩れ落ちていく。
その一端が、まるで
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